〜真天界〜 リオ「…白いな。」 我は辺りを見渡しながら言った。 アルト「ふ…直ぐに城と街が見えてくるよ。」 城下町か…悪くないな、我が国も城下町だからな。 アルト「呪文で霧を払うぞ?」 霧の所為で辺りが真っ白なのか…。 アルト「…余と天が一つとなりて、神の社…真天界への道を開かん!!」 聞いたことのない呪文だな…呪文内容は覚えたが。 辺りの霧が晴れ、城下町が見えてゆく。 リオ「…デカイな。」 アルト「そうだろう…余の自慢だ。」 半径300kmといったトコロか。 魔界では、その様な大きい国は大都市くらい出ないと無いな。 アルト「さぁ、行くぞ。」 リオ「そうだな。」 〜天の庭園[グレン・ガーデン]〜 アルト「此処が真天界最大にして、この世界に一つしかない国だ。」 近づいてみると、尚更大きい国だということが理解できた。 国を護る城壁…我が国の城の5倍以上のある城…。 何もかもが真新しかった。 リオ「それにしても、大きいな。」 アルト「巫女に会いに行くぞ…時間が無い。」 リオ「そんなに時間が無いのか?」 急いでるセリフを聞いたからには、聞かなくてはな。 アルト「後…大凡4700年後に真天界の崩壊が始まるらしい。」 何というか、随分と遅いんだな…。 アルト「立ち止っている暇があるのなら、さっさと歩け!!」 そうだな、行動を早くせねばならないだろう。 何故、早く行動せねばならないのか気になる。 対策も早く練らなければならないな……多分。 〜城下町〜 アルトから城下町は広いぞと言われ着いたのだが…。 人の気配…無し。 店は沢山あるが。 リオ「ふむ…城下町と言えど、人はいないのだな。」 アルト「まぁ…なんだ、余は人気が少ない方が良いからな。」 人気ねぇ…人すら居ないが。 皆無じゃないのか? アルト「巫女に会いに行くには…ん…ぬぅ。」 どうしたんだコイツ…。 まさか、行き方を忘れたんじゃないだろうな。 冗談なら良いが。 アルト「ふむ…こっちか。」 勘でないことを切実に思うぞ。 …。 …。 …。 リオ「おい。何で3年以上も迷ってるんだ?」 食糧は其処ら辺りにある店で補給できるんだが…。 3年も迷うってどういう事だ。 アルト「ちょっと待て。今、結構良いところまで来てると思うんだ。」 何が良いところだ。 まだ迷う気か。 リオ「おい。」 アルト「何だ?」 コイツは延々と迷い込みそうだからな…我が理術で導いてやろう。 リオ「我が術で探す。」 アルト「そんな事が出来るのか?」 リオ「黙って見てろ。」 リオ「我、名をリオ・ヘスティミア。理と法…全と一を統べる使い手となりて我等が迷いし天空の迷い子に導きを与えたまえッ!!」 …どうだ? ふむ、成功したようだな…我が魔力は底尽きた様だが。 アルト「この様な便利な術があるとは…見直したぞ。」 我は魔王だぞ。 馬鹿にするな。 アルト「おぉ、巫女の場所が分かったぞ!!」 なら、さっさと案内してくれ…。 〜巫女の社〜 …。 猫…のようで人のような奴だな…巫女って。 巫女は獣人で…魔族か。 アルト「さぁ、巫女様…この者が救いの者でしょうか!!」 ????「そうですね〜。」 明るく、落ち着いた声が聞こえた。 ????「リオ・ヘスティミアよ、魔王の名において真天界の守護を命ずる!!」 ちょっと待て。 何故、貴様に命令されなければならない。 リオ「ちょっと待て。」 アルト「何だ?」 お前に用は無い、巫女に用があるんだよ…。 リオ「おい、其処の貴様!!」 ????「…?」 首を傾げるな!! ????「あぁ、挨拶ですね?」 いや、そういう問題では無い。 ????「御持て成しした方がよかったかなぁ。」 そういう問題でもなくて…。 ????「あ、私の名前は渚だよ〜。」 リオ「渚よ…何故、我が貴方に命令をされなければならないのか。」 渚「ほへ?」 アルト「…。」 渚「んと、真天界がピンチになるってお告げが来たから。」 理由になってないぞ…。 渚「あ〜あ、セリアちゃんに頼めばよかったかなぁ。」 セリア…? 誰だ、ソイツ。 強いのか…? アルト「あの様な、一閃で異次元世界…俗にいうパラレルワールドを消滅させる様な無茶苦茶な超人に、この使命はこなせないかと。」 …何者だ? セリアか…名前だけでも覚えとくか。 渚「でもでも〜、こんな新米の魔王で何が出来るのさ。」 …言われ放題だな。 アルト「神から言われたのであれば仕方の無い事でしょう。」 神ねぇ…我は存在を信じないが。 渚「そうだね〜、リオくん…主属性は何かな?」 主属性か…答えなければ、修行出来そうにないよな。 リオ「"邪"だが。」 渚「へぇ…アルト、どうする?」 アルト「"邪"の力が扱えるのならば、余の手中にある二つの剣の内の一つは使えるかと。」 アルトの手中にある剣か…。 邪の系統の剣なのか? 渚「その可能性は十分に高いね。」 アルト「ここは賭けに出てみるか?」 賭け…? 其処まで危険な武器なのか? リオ「おい…我は何をすればいいのだ?」 渚「そうだねぇ…先ずは祭壇に行かないと始まらないね。」 祭壇? 其処にアルトの手中にある剣が祭られてるのか? リオ「其処にある剣は…何故、祭壇にあるのだ?」 何か意味があるに違いない。 聞いてみなくては始まらない。 アルト「…あぁ、簡単な話だが…全世界の安定を支える神具たる武器がある。」 全世界…異次元世界も含むのか。 渚「さぁ、行ってみよう!!」 第十四章に続く