ネタ帳 第二章 ・作ったの? 子供を? ・他の誰にも真似のできない驚くべき  能力を発揮する人々は現実に存在  する。暗算の天才はどうだ?  武道の達人は? 彼らがなし得る業は、  我々凡人からすれば超能力スレスレではな  いか。人間にはまだまだ未知の能力が  隠されているのだ。その未知の能力を  極北に、手を触れることなく物を動か  す力や言語を介すことなく思考を伝え  る力があったとしても何の不思議も  なかろう ・人間には五系統の入力(五感)と  筋肉による一系統の出力がある。  第六の入力や第二の出力がひょっとし  たら存在するのではないか ・水素と酸素が反応して水ができる、しかし  本当にそう断言していいのか? 明日も同じ  結果が出るという保障がどこにある? 明後  日はどうだ? 一億年後は? あるいは十  億年前は? 追試験をやった奴全員が  虚言症だったら? 再現性と簡単に言う  が、完全に同じ条件を再現して実験  をするなんて厳密には不可能だろう? 「あのとき  の水素」と「今ここにある水素」がまったく同じもの  であることをどうやって証明したらいい?  水素と酸素の反応にもし空間上の座標  軸が関係していたら? 同じ実験をやって地  球とM78星雲ではまったく違う結果が出た  らどうする?  こういうわけでだ、「ある程度の」客観性と再現  性があれば、それは科学的に認められるこ  とになっている。 つまり多数決だな。しかしそれは、  そういうことにしておかないと何事も進まない  から仕方なく、というナアナナの決め事にすぎ  ない。これが宗教なら、実験だの何だの  という面倒くさい手続きを全部省略し  て一足飛びに真理に到達できるのかも  しれん――そうやって到達した真理がなん  ぼのもんかは別にしてな。ところが科学は  そういうやり口とは袂を分かってしまったせいで、  近似値としての正確さを手に入れるのと引き  換えに、真理との距離を無限大にしちまっ  たわけだ。なにしろ例外の可能性は無限に  存在するからな。科学がアキレスなら真理が  亀さ  しかしな、そのアキレスと亀の隙間にオカルトは  潜むんだ  心霊写真のインチキを一枚一枚暴いて  いったところで心霊写真そのものの否定に  はたどり着けないし、スプーン曲げや念写のト  リックをいくら見破っても本物の超能力者がど  こかにいるかもしれない可能性をゼロにはでき  ない。科学は科学であるが故にオカルト  を絶対に論破できないんだ。ちょきがぐー  に勝てないようにだ。科学は自分でアキレスにな  ることを選んだはずだし、それが科学の短所  であると同時に長所でもあるはずなんだ。  いつまでたっても亀に追いつけないのが苛立たし  いのなら、とっとと科学なんぞやめて宗教でも  やればいいんだよ ・認知的不調和  人が自分の中で矛盾する認知を同時に  抱えた状態 ・DNAは設計図  RNAは作業員  しかし近年は監督のRNAが発見され  DNAに影響をあたえるという ・事故だと思ったら事件だった(叙述) ・敵が悪の道に走った理由が自分だった。 ・「おい、まだかよ?」  俺は女房の背中に向かって言った。どうして女という奴は  支度に時間が掛かるのだろう。  「もうすぐ済むわ。そんなに急ぐことないでしょ。  ……ほら翔ちゃん、バタバタしないの!」  確かに女房の言うとおりだが、せっかちは俺の性分だか  ら仕方がない。  今年もあとわずか。世間は忙しさに包まれていた。  俺は背広のポケットからタバコを取り出し火をつけた。  「いきなりでお義父さんとお義母さんビックリしないかしら?」  「なあに、孫の顔を見た途端ニコニコ顔になるさ」  俺は傍らで横になっている息子を眺めて言った。  「お待たせ。いいわよ。……あら?」  「ん、どうした?」  「あなた、ここ、ここ」女房が俺の首元を指さすの  で触ってみた。  「あっ忘れてた」  「あなたったら、せっかちな上にそそっかしいんだから。  こっちむいて」  「あなた……愛してるわ」女房は俺の首周りを整え  ながら独り言のように言った。  「何だよ、いきなり」  「いいじゃない、夫婦なんだから」  女房は下を向いたままだったが、照れているようだ。  「そうか……俺も愛しているよ」こんなにはっきり言ったの  は何年ぶりだろう。  少し気恥ずかしかったが、気分は悪くない。俺は  女房の手を握った。  「じゃ、行くか」「ええ」  俺は足元の台を蹴った。(首つり) ・叙述トリック  隠し事(世界観や過去レベルで)  ミスリード、ヒント  真実の暴露  読者をターゲットにし、ある事実を隠す  主人公に設定を誤認させたまま謎を解こうと  させる ・直接その言葉や表現を使うことなく  そのイメージを与えるクリエイティブが大事 ・Midnight Angel  とあるバーに魔界より降り立った二人の悪魔がいた。  その二人のうち「エミ」と呼ばれる悪魔はA級悪魔  になるため、いよいよ最終段階に入った。  これまでエミは何人かの魂をうばうため、運命  管理局から命じられたターゲットに「憎んでいる人を  殺す代わりに魂をもらう」という方法で魂をうばってきた。  今回のターゲット、「ゴロウ」もその方法で対面をこころみた  が、ゴロウはエミが憎んでいると思っていた「ユリカ」にまだ  想いをはせていた。  ゴロウとユリカのつきあいを終わらせたきっかけとして、昔の  海辺でイチャモンをつけられ土下座したという行為を、ユリカが  「いくじなし」と言い放つという終わり方があった。  その話を聞いたエミの上司は、エミをA級悪魔にするた  め「契約をしなければユリカが死ぬ」という卑怯な手  段でゴロウに契約をさせる。  エミはゴロウに「もう一度あの時をやり直せたら、そのとき  どうする?」と聞き、「また土下座かな」と答える。  一方、ラジオドラマのナレーションをしているユリカの元に  新宿のゲームセンターの発砲事件の犯人が自分を  狙っていると知らされる。  ゴロウはモデルの撮影でユリカが来ると知る。  エミは上司のダイゴとの契約について聞き、人間の  愛と自分の昇格との間で悩み、撮影現場に来る。  そこではゲームセンターの犯人がユリカをさらい  ゴロウは足に銃創をくらう。  しかし、ゴロウハ犯人に追いつき、昔と同じように  土下座する。その中を蹴りつける犯人。  犯人が、それを見かねかばったユリカを撃とうとしたとき、  エミが犯人のコントロールを奪い、自殺させる。  それを見ていた運命管理局は「なんとおろかな」と立  ち去る中、エミの上司は契約書を破る。  かくして二人は前のつきあいを取り戻し、悪魔の書に  例外の名を刻んだのでした。 ・霊を信じるか? と聞くのはおかしい  いるかいないか説くのかが正しい ・デカルト「コギト・エルゴ・スム」  わたしは考える、だからわたしは存在する ・想像するだけで身が凍る。何故由規はそん  なことを言う。そんな悲惨なことが、十分おこり  うるということなのか。  だとすると自分は――  恭司  「そんなの無理にきまってるじゃねえか」  部屋を出ようとしていたゆも由規の足が止まった。  恭司はその背に向かい、声を押し出す。  恭司  「殺したヤツを、どこまでも追いかけてって、ぶっ  殺すに決まってんじゃねえか!」  「狂ってるって言われるなら、それでも構わねえ  よ。正気じゃなくたって構わねえ」  「希衣佳が殺されたら、俺は喜んで狂って  やる!」 ・きみが眠っているとしたら?  眠りのなかで夢をみたとしたら?  夢のなかで天国へ行き、見たこともない  美しい花を掴んだとしたら?  そして目覚めた時、その花を手にしていたら?  ああ、そうしたら? ・義務教育が強制的すぎて  自由な発想なんか生まれなくなってる ・なにがあってもぼくは残るけど、成功させるため  にはみんなでやらなきゃいけないんだ。  ぼくたちはぼくたちの神さまの意志にゆだね、  死ぬ覚悟をしなきゃならない。  だってそうなるかもしれないから ・真白  「どんな場所かって? 貴方も私に聞くのね。  私に答えて欲しいのね?」  「だから答えてあげる。いいえ教えない。  同じ答えを教えてあげる」  真白は水を得た魚のように、あるいは滔々(とうとう)  と流れる水のように、滑らかに話す。  真白  「そこはとても素敵な場所よ。腐って臭くて、  吐き気をもよおしそうな場所。キラキラ光って気の  狂いそうな処」  「私をみんなが見ているの。……すごく感じるわ」  「無数の目玉よ。数多の眼球が私を嬲るの。  ふふ、ふふふ……っ」  「後ろからも前からも、上からも下からも私を犯すの。  突き上げて揺らして、何度も何度も、死んじゃい  そうなくらい……!」  「だから私は――」  真白の表情が消える。――一瞬の空白。  そして  真白  「狂ったの」  ――真白は言い終わると、螺糸の切れた  人形に似て、がっくりと項垂れた。 ・我は手で狙い定めぬ。  手で狙い定める者、父親の顔を忘却せり。  我は目で狙い定める。  我は手で撃たぬ。  手で撃つ者、父親の顔を忘却せり。  我は<気>で撃つ。  我は我が銃で殺さぬ。  おのれの銃で殺すもの、父親の顔を忘却せり。  我は心で殺す。  ガンスリンガーの教えより ・紫  「あっという間に変わるものは怖い。置いて行か  れそうなきがするじゃない」 ・一枚の壁にボールをぶつけて、そのボールが壁を  抜ける可能性は極小だが、ボールが壁の向こうに  行くことが決まっていて、その方法が壁を抜ける  しかないとき、ボールは一発で壁をすんなりすんなり抜ける。 ・「じゃぁ、行きなよ。ぼくはここで死んでも、   また別の世界がいくらでもあるから」   ――ジョン・”ジェイク”・チェンバーズ ・吉男が私のために頑張るなら  私も吉男の力になる。  そういう対等な立場がいい。 ・自らの本質を見失い、授かった力を  錆びつかせるぐらいなら  いっそのこと死んでしまえ ・俺達の世界に在るのは――  「正義と死」だけだ ・魔力を拒むな。  拒んだところで魔力が無くなる  わけではない……  大事なのは受け入れる事だ。 ・呪文とは、魔法を使う時の精神集中のため  に唱えるもので、特に決まった言葉を発する  必要はありません。  自分が集中しやすい言葉をつぶやけば  それでいいのです。  慣れれば呪文なしで魔法は使えます。 ・てっとり早く多くの魔物と契約を結ぶには、  魔王と契約をいたします。 ・魔方陣なしで魔法を使うのは  数式で言う暗算みたいなものです。 ・この中でなら、全力が出せる。  この迷宮の中でなら、どんなに  魔力を放っても誰にも迷惑が  かからないから…… ・もういいと思うんだ。  これ以上オレは何もしない方がいい  何でも簡単に出来すぎるから……  オレの体に宿った死の病は、誰か、勘のいいヤツ  のくれたプレゼントだと思う。  拒まず受け取りたい。  オレは人のまま死にたいんだ。  このまま生きていたら、神と呼ばれる存在にまで  成長してしまう。 ・だけどオレは人を人と思えない  ようになるのはごめんだ。 ・法は絶対に守らなければならないが、  法自体が間違っていることがあるのだ。 ・僕は人間のそういう所が好きなんだ。  人間の中には利己的で愚劣なものもいるけど、  普通の人間は、神よりも悪魔よりも  素晴らしく感動的な生物だと思う。  僕は人間の隠れファンさ。  人間が神のように面白みの無い生物に  なったり、悪魔のように傲慢に  なるまでは敵に回らず、ただの傍観者として  見守っていたい。 ・元から持っている物……  後から手に入れた物……  今までの全てを力に変える。  それが自分を最強の状態にする方法だ。 ・オレたちは”お前たちの作り出した敵”だ!  取り返しのつかないバカをやった事を反省しやがれ! ・「忘れるな、いつか必ずそれは来る」  エルミスの魔道書290ページ目の言葉 ・ゴミがしゃべんなよw  人間以下が  以下なら人間含むよね ・精子とかけまして、人生とときます  そのこころは?  「せい」で始まり「し」で終わります。 ・脳が素粒子レベルまで理解すれば  モノが現れたり消えたりするし  時間も行き来できる。 ・資格なんてものは元々ないのさ! 例えば家族  になるのに資格はいるのかい? 付き合って遠くない  未来に結婚するならばその時には家族  だ。この時も資格はいらないよ。 by林檎 ・――でも、変わろうとしている。  永遠の悪意の循環から、紫は抜け  出そうともがいている。少なくとも恭司は、  そう信じている。 ・性別が迷子 ・――明日からどうすればいいのか、どうす  れば二人で生きていけるのかなんて、恭司  にも紫にもわからない。ただ、紫と一緒に  居たいだけだ。紫を死なせたくないだけな  のだ。  どうしてたったそれだけのことが、許されないの  だろう? ・ビジネスのゴーコン ・能記(シフィニアン)と所記(シニフィエ)  の結合は恣意的である。シニフィアンもシニフィ  エも、ともに純粋に関係的、ないし差異的  な存在である。してみれば両者の間に  関係も差異も存在せず、「の如し」といった  両者を関係づける語すら存在しない隠喩、  換喩、諷喩といったものは存在しないこと  になる。したがってすべての隠喩、換喩、諷  喩といったものは、それがもし言語(ラング)  または語(パロール)によって表現された時、  その概念は自律的に存在しはじめる。  彼がこの結論を発表し、それが認められ  た時から、それまでの隠喩、換喩、諷喩  といったものはすべて自律的に存在しはじめた。 ・鳩の巣原理  n個の鳩の巣にn+1羽の鳩が入ったら、  少なくとも一個の巣には、二匹以上の鳩がいる  ただし、nは自然数とする。 ・嘘つきは答えられるけど、正直者は答えられな  い質問は何か。  この質問に、あなたは<いいえ>と答えますか? ・「とにかく最後は<音>なんや――言葉で世界を表現  できるなら、それもいい。そやけど、音でしか表現で  きない世界がある――」  「音楽は――うちのもの。この胸を切り裂いて、激し  く蠢いているなにかをさらけ出すには音楽し  かない。……うちは、そう思うてる。うちは、音  楽のために息を吸い、音楽のために食べてる」  「ときどき<音楽がわからない>という人がいる。うまく  言葉にできひんことをすべて<わからない>と片付ける人  やな。音楽を、そのまま味わおうとしぃひん。言葉に  できなくてもいいんや。言葉にならんから、音にし  てるんやから。言葉にしたがる人は、音を聞いて  へん。言葉を探してばかりで、演奏者が生み  出した、かんじんの音を聞いてへん。音が響く時間  を、音が広がる空間を、味わってへん。言葉探す  な、耳をすませ! ……ということや」  「数学で数式を使うのは、それが一番いい表現方法  やからやね」 ・たとえ世界中の人が<わかった、簡単だよ>といったとして  も、自分がわかってなかったら<いや、自分はわかっていない>  という勇気。それが大切なんだ。他人がいくらわかっても、  自分がわからなければ無意味。時間をかけて考える。  納得するまで考える。そうして得たものは、一生、自分の  もの。決して誰にも奪われない。 ・レース模様のパターンが生み出しているものは何かを  理解していない。世界を表面だけ観察している。  構造を見抜いていない。もっと深い楽しみが  あるのに……。 ・「政治家の免許がないほうが怖い」 ・「半月前に買ったダックスフントが気に食わないんだけ  ど」と言ってきたのだ。「返品するわ。引き取って」  見下す口調がわたしはひどく気に入らなくて、  危うく「あなたこそ息を、引き取って」と返事をし  たくなった。 ・CD4、HIVはそれを破壊する。 ・「神様を閉じ込めに行かないか?」  はじめて会ったと時と、まったく同じ印象を受けた。  あ、これは悪魔の言葉に違いないな、と思った。 ・「その賢さや臆病さが君を救うんだ。第一、  君はまだ十四歳で、だれかを救おうなんて考える  のは早すぎる。あっちに行こうとしている人間をこっ  ちに行かせるなんてこと、うちのボスにだってむずかし  いんだぜ」 ・だって真の死は終わらない。何年たとうが、何十年  たとうが、死だけは絶対に終わらない。 ・「みんなそうだよ。いろんな絵の具を持ってるんだ、  きれいな色も、汚い色も」 ・衛星信号に無線LAN、電波などを体に取  りこめるの。そのパソコンにも私は対応できるわ ・自分が持っている力を考えて使ってみろ。飛ぶ、人の心を  読む、それともしゃれた絵を描くか……なんとかして  みろ。予想外のことを! ・「それは注射された痕よ。ウィルスを追跡するのに使  うのと同じラジオアイソトープを注入するの」  マットが拳銃をホルスターにしまうと、ハナは手に  した拳銃のようなものを彼に差し出した。  それは銃の形をした圧縮空気用針だった。 ・「……養女なのに、本当の家族って言える?」  「本当の家族かどうかを決めるのはDNAじゃ  なくて、どれだけ愛しているかだ。パパはお前  を愛している。心からね。ママのお腹で育って  はいないが、2人で大事に育てた」 ・ゴア 「過去は過去サ。無理だった物は  無理なのサ! 変えられなイ、変わらないのサ!」  「でも未来は変わるヨ! 変えられル! るるル!」 ・米田共江をくっつけて糞江 ・「みこがみまもる」で「御子が見守る」 ・「そうよ。むちゃくちゃなの。いい、衛。わたしたち  人間はね、自分が信じるものしか事実とは認め  ないの。たとえそれが嘘でもね。いいえ。  極端なことを言ってしまえば、この世の中のすべて  は嘘なのよ。嘘だという言い方が悪いなら、なに  もかもが幻だと言い換えてもいい」 ・早い話が「お前の仰ぎ見ている神とは、わたし  の信ずる主なる神とはちがう」なんていうくだらない  理由で、ひとはお互いに殺し合いをするわけだ。 ・ぼくという人間は、そもそもどこにも存在してな  いかもしれないんだよ ・「変化を嫌うそいつ。新入生が来るたびに、眼  から覚めるという、それは――」  「そう。もう判っただろ。そいつこそバグの正体な  んだ。プログラムが不完全なせいで、新しい被  験者が参加しようとするたびに、この虚構世界  を成立させるための何か根本的な前提が揺ら  いでしまうにちがいない」 ・その時。  唐突に、それは起こった。ぼくはそれまで  経験したことのない違和感とともに偏頭痛  のようなものに襲われた。後から思い当たって  みれば、それはまさしく”詩人”が言っていたよう  に、世界が歪んだ、としか表現しようのない感覚  を伴う。 ・ご挨拶も何も、誰もいないじゃないか。そこには  誰もいない。  誰もいないよ。 ・どうしてそんな言葉が急に頭に浮かんできたん  だろう。いくら考えても判らない。判らないけ  れど、とにかくルゥ・ベネット嘲笑を見た瞬間、  ぼくは思ったのだ。いや、確信した、と言って  もいいかもしれない。  彼は異教徒だ――と。 ・あいつだ  あいつが目を覚ました  目を覚ましてしまったんだ  牙を?ている  あいつが牙を?いている  牙を?いて襲いかかってくる  ぼくたちはみんな  みんな滅ぼされてしまう ・おいおい、なんでここで肉切り包丁なんかが  出てくるんだ? そんなもの<学校>に必要  だったのかよ。肉料理なんて、ミズ・コットンは  一度も食べさせてくれなかったのに。おかしい  じゃないか、と。 ・たとえ情報が歪んでいても、みんながそれを受  け入れてしまえば、それは社会的事実となる。  いわゆる共同錯誤という現象よ。でもね、  理屈としてはそのとおりでも、現実問題と  してそれほどの錯誤が社会的規模で成立  するものなのか? 視覚、聴覚すべての五感を支配し、  認識能力をも歪める共同錯誤現象がはたして  起こりえるのか? ・「だからケネスは、ぼくび警告した」じりじりとこちらの  首でも絞めかねない形相で近寄ってくるデボラ  を無視して、ぼくは続けた。「そいつは変化を好  まないんだと。ここは永遠の少年少女の楽園で  あるというファンタジーを絶対に壊してはいけない。  うっかり事実を直視したが最後、ぼくたちはみんな  そいつに滅ぼされてしまうんだ、とね」 ・ダッド・ア・チャム ダッド・ア・チー ・「ほら言ってみろよ! おまえはスピードを出しす  ぎて、ぼくの友だちをひきそうになったんだぞ。頭に  風穴を開けた状態でこの車道で死にたい  ってか? ほら、言ってみろよ!」 ・「祝福に感謝する、あんたが異教徒であろう  となかろうとな」 ・「スザンナを救い出せたら、ジェイク、わたしはカンスリ  ンガーかな?」  ジェイクは冷酷無比な笑みを浮かべた。その  顔からは、もはや疑いや恐怖は拭い去られて  いる。  「<ケフ>、<カ>、そして<カ・デッド>だ」 ・「中に入ったら、一緒にいてよ。ずっとそばにね。オイ  をまんなかにして、横一列に進もう。ワン、ツー、スリー  で突入する。始まったら、死ぬまでやめない」  「決してやめない」 ・「おまえなんか死んじまえだ!」  「シンジ・マエダは非アジア人の名前としては不適当  と判断します」 ・「あなたは能力者を悪者にした」  「存在を気づかせただけだ。人々が恐れるのは  当然で、責めることはできない。我々は、強力で特  別な存在だからね」  「特別かそうじゃないかなんで、だれが決めるの?」 ・「逃がしてくれるの? なんで?」  「そういう運命らしい」  モニンダーはヒロをドアへと急がせながら、自分の  バッグの上に置いてあった「ナインス・ワンダー!」の  コピーをつかんでページを開き、彼の手に押しつけ  た。  それを見たヒロは息を呑んだ。ヒロを押さえ  つけているハイチ人に注射をするモヒンダーの  姿がはっきりと描かれているのだ。  「ここはなんとかするから君は世界を変えてくれ」 ・「たまにね、病気の子供がいると、両親は別の健  康な子供から抗体をもらうんだ」  点滴のバルブを調整し、言葉をつぐ。  「運がよければ、健康な子の血が病気の子を  治してくれる。残念ながら僕が生まれるのが遅  くて、姉さんは死んだ。でも、君はもう大丈夫」 ・「そのとおりよ」  ついでDLに視線を移す。  「私はお金がほしい。心底ね。そのためならあなたも  殺す」  DLはごくりと唾を飲み下した。  「でもニキは違う」  その口調と表情は、すでにジェシカのものではなかった。  彼女は大きく息を吐いたかと思うと、完全にニキに  戻って夫に抱きついた。  「DL!」  それは愛が金銭欲に勝った瞬間だった。敗北  を認めたくないリンダーマンは、苦々しげに頭を振った。  「愛などない」  ニキが挑戦的なまなざしでリンダーマンを振り返  る。  「私がしたことは、すべて家族のためよ」 ・「奴の策略だろうと、俺たちが出会ったのは事  実だろ」 ・「お前を独りにはしない。これがもう一つの方法  だ」  「兄さんが死ぬ」  ピーターは目に恐怖と悲しみの色を浮か  べてあとずさった。だが、ネイサンは少しもひるま  なかった。  「ほかの人は救える」 ・「家に帰ろう」  ベネットが何事もなかったかのようにささやき、クレ  アは苦笑いした。  「家って? 焼けたじゃない」  「家族がいる場所が家だ」  父親の言葉でクレアはわずかな希望を抱き、  冗談めかしてたずねた。  「計画はあるのね?」 ・プリンタのインク単価は血液よりも高い ・何を楽しませるか  選択が意外だといい ・結末のみを調べる  何を楽しみ、ゲームの中だけで謎をとくのか? ・今年の夏は首からロープがイケてる ・登場人物の行動に  矛盾がないように直す ・キノコはたくさん性別がある ・テーマの原因の結果 ・ショパンは遊びです ・自分が「真実」と思っているもの  (自己イメージ)に従って行動する  ・先入観  ・昔ながらの習慣、過去の成功体験  ・刷り込み(インプリンティング)  思い込み、決め付け、こだわり  閉め出し、シャットアウト  心の盲点 ・カギがあるエレベータ ・緑の階調をよくすると美しくなる ・DNA=どこで      なにして      あそぶ ・おいしいってのは、何かとくらべて  おいしいと思うからおいしい。 ・人は恐怖を通じて成長する ・メラビアンの法則 アルバート・メラビアン  人は相手がどんな人格なのかを相手の  態度や表情から必ず読み取る。 ・ヘアノ・スミス ・エディプス・コンプレックス  息子の父親に対する抵抗心 ・カメリアン・コンプレックス  不幸な女性を救おうとする男性の心理 ・ザイアンスの熟知性の法則  1、人は知らない人に対しては攻撃的・批判的・冷淡になる  2、人は、その人を知れば知るほど好意をもつ  3、人は、その人の人間的側面を知った時に好きになる ・見えないものをどうプレイヤーにみせるか ・年齢をXとすると、π×√X才以下の女の子を好き  になる人はロリコンである・ ・人は場所に合わせてなんて生きていないもの  だと思うけど ・さて……じゃぁ、あたしがあたしっぽくないことを  したとしても、あたしはあたしで居られるのかしら? ・生身の体を持たず、霊魂だけである予が、  常世に干渉することが出来るのは、なぜ  じゃと思う?  それはな、意思という力を使っているからよ ・青年、確かに君は、その衣装を愛しているのか  もしれない。だが、それを着てくれる人への愛が  足りていない ・変態、大いに結構。道を究めんとするものは  時に変態的に見えることだろう  だが、それでも他社に迷惑をかけることなく、  真っ直ぐ突き進めば、必ずや理解してくれる  人間が現れるだろう  青年よ、変態たれ。けれど、人を愛し、思いや  れる変態になるのだ。 ・私の信ずる”愛”も至高だが、貴君の”愛”も  また素晴らしい ・私は死になど負けん! たとえ地獄で手足をつ  ぶされたとしても! 私には唇という至高の感覚  器が備わっている!! ・お前たち……まだ分かってない様だな……  一方通行の欲望は愛ではないのだ。お互い  の理解があって、初めて愛となる! ・与えられるだけの夢になんの意味があるという  のか? ・大勢の人間が集まって、ひとつのことに向かう  とー。トンでもない奇跡を起こすのさー。 ・都子ちゃんは幽世にいる。身は死んでいても、  幽世で生きているんだ。生きている時は話せな  くても今なら話せる ・身体がなくなったとしても、幽世なら思う存分生  きられるんだ。そうだ、ここでなら! ・西浄  「”またなー”だ。私たちはいつかまた、きっと出会うのだ」 ・美遥  「さっきも言った、みゆの身近な人のこと……その人がヘンタ  イだっていうのは濡れ衣だから。……もう二度と、濡れ  衣で誰かを傷つけないで」 ・由希  「お願いです……! 誤解と戦って下さい1 きっと、  みんなわかってくれますから!!」 ・パソコンルームにアンパンマンは入れない ・ストーリー要素 AUMFA  Awake     感情を呼び起こす  Understand  理解を深める  memory    記憶に残る  Fade     矛盾や葛藤を解消する  Action    行動を喚起する ・恋とは、意中の者の心が欲しいと希う(こいねがう)事でありんす。  愛とは、愛する者の心を受け容れるが本意でありんす ・目をくしばれ(なぐるそぶりで) ・小説:因果関係  物語:内容について語る ・ジェイクは、ここで死ぬんだと確信して足を踏  み出しながら、自分の真の父であるローランド・デス  チェインが言った二つのことを思い出していた。わず  か五分の戦いが千年も語り継がれる伝説  を生み出す。そしてもうひとつ。自分の最後が来  たときに幸せに死ぬ必要はないが、心満ちたりて  死ぬべきである。それというのも、始まりから終わ  りまで自分の生をまっとうしたのであり、<カ>に与え  られた役割を果たしたのだから。 ・「あまえにはこの一度のチャンスしかない。それを生  かせ! 彼女を探すのだ! 指導者<デイン>として、  命じる!」 ・「さがれ!」キャラハンは叫んだ。「神の力により命  じる! キリストの力により命じる! <中間世界>の<カ>  により命じる! <純白>の力により命じる!」 ・いや、待てよ。  ちょっと待ってくれよ。  これまで自分とオイとの精神的つながりがどれだけ  強いのか知らなかったけど、それはすぐにわかる。  「オイ!」  いまやロウ・メンの掛声は、かなり近くなっている。す  ぐにでも、自分とバンブラーが立ち止っているのを発  見して襲ってくるだろう。オイは、かれらの接近が  臭いでわかっていたが、とにかくジェイクを静かに見つ  めた。愛するジェイクを、死ねと命令されれば喜ん  でそうするつもりの相手を。  「オイ、ぼくと入れ替わってくれない?」  つまるところ、オイにはそういうことが可能だった。 ・「さあ、来い、下衆野郎ども」ジェイクは言った。  「ギリアドとエルドのために。スティーブンの息子、  ローランドのために。ぼくとオイのために」 ・長い昼と快適な夜を  あなたにはその倍を ・「おまえさんたちは正しいことだけを望んでいる。これ  以上はっきり言うことはできないな。おまえさん  たちを信じるよ」かれはたらった。「正しいっ  て信じる。おれがおまえさんたちの目のなかに見  るのは、真実だ」 ・「ハイル、ジェイク」  「ハイル、父よ(ファーザー)」 ・ここに目を閉じて立ち、父親がぼくのためにやっ  てきてくれたと思うだけで十分だった。 ・お前は憎悪ではなく、愛の犠牲者だ。確かに、  愛は何よりも破壊力のある武器なのだから ・ジェイクが神父の死を悼んで泣くのはあたりまえ  だ、友人だったのだから。だが、ジェイクがまだ笑うこ  とができるというのは、よいことだ。本当に、とてもよい  ことだ。 ・なぜなら、ようやくだれかが自分にできることを望んで  いるからだ。  なぜなら、ようやくだれかが自分を求めているからだ。 ・「なぜなら、才能は沈黙できないからだ。どうやって沈  黙すればいいのかわからないのだ」テッドは言った。  「それが金庫やぶりの才能であれ、他人の思考を読  むことであれ、暗算で十桁の割り算をすることで  あれ、才能は使ってくれと叫んでいる。決して黙ること  はない。疲れ切った夜に目を覚まさせて、こう叫ぶ  のだ『使って、使って、使って! ここにただすわってるだ  けなんてうんざりだ! 使えよ、バカ野郎、使ってく  れよ』」 ・そこにはバスが停車していた。運転手はフィル  という名のロボットだった。『わたしの名前はフィル  です。もうわたしは下り坂です。でも、みなさんに  とってよい知らせは、決してわたしはくだらなく  ないということです』とかれは言った。 ・「おれたちは、<カ>を変えられる」ローランドは言っ  た。「前にもそういうことがあった。ただし、常  にその代償は払わなくてはならない――  おそらく<カ・シューム>だ――だが変えられない  わけではない」 ・自分の習慣を他人と共有できなければ、その習  慣はやめるべきだ。 ・宇宙の中心には何がある? ・「ギリアドのために、ニューヨークのために、<ビーム>のた  めに、おまえたちの父親のために! 聞け、聞くの  だ! ひとりも生かしておくな! 皆殺しにしろ!」 ・「なら、すべての世界を奇襲で殺すために、子ども  たちを使う卑怯者の犬たちのことはどうだ? す  べての宇宙をだぜ?」 ・なかないぞ、ジェイクは陰鬱な気分で誓った。  タバコを吸ってもよくて、ビールを飲んでもいいくらい  大人であるなら、自分の涙腺ぐらいコントロールできる  はずだ。泣かないぞ。  ほぼ確実に泣いてしまうとわかっていたが。 ・ああ、エディはそう口を動かした。そして、また聞くの  もつらい笛の音のような呼吸をした。それが最  後だった。  「二度目のチャンスをくれてありがとう」エディは言った。  「ありがとう……とうさん」 ・その答えは、時間にあった。バカな疑問を抱い  たものだ。いつも答えは時間にあるのだ。  九時十九分を構成している数字をたせば十九にな  る。 ・「印を立てることはできないと思う」彼女は言った。  「でもあとで、何かを植えることはできるわよ。かれ  が気に入るようなもの、わかる?」  ローランドは顔をあげ、ジェイクが死んでから初めて微笑んだ。  「ああ」とローランド。「薔薇だ」 ・「行きましょ、ローランド、わたしたち行くのよ! あな  たの<塔>に価値がないとしても、どうにかして  価値があることにするのよ!」  「我らは行く」とローランド。「<暗黒の塔>を見つける。  何も我らを阻むことはできない。<塔>に入る前  に、我らはかれらの名前を読み上げる。倒れた  ものすべての名を」 ・膝から下のない脚の先ですくっと立ったスザンナは、ロー  ランドの拳銃を右手でつかんだまま両手を広げ、空  に向かってYの字を作った。そして叫んだ。そこに  言葉はなかった。言葉などあるわけがない。  勝利の偉大なる瞬間は、いつも言葉では表せないも  のなのだ。 ・「ほら、小学校のとき、こう言われなかったか? 火事  になったら、静かに落ち着いて、背の低い者から  順番に背の高い者がうしろになるように並べ  って。どうしてだと思う? 背の高いやつのほう  が焼けるのが遅いってことか?」 ・「立ち上がって、ガンスリンガー、心から許しを与えるわ」  彼女は一息置いて、こうつけ加えた。「もしあなた  の命をあと九回救えば、たぶん五分五分ってところね」 ・ダンデーロは血ではなくて感情を食べる吸血鬼  なのよ。 ・モルドレッドも感じていたのだ――あの脈動、あの  歌を。だがローランドとスザンナとパトリックが  聞いたのは、長調の調べだったが、モルドレッド  のそれは短調だった。 ・「人生は幻覚(トリック)、愛の魔法(グラマー)」スザンナは  応じた。「たぶん、わたしたち、また出会うわよ、道  の終りの開拓地でね」  「そのように言うのなら、そうするがいい」ローランドは  彼女に言った。そして片足を前に出すと、ブーツの磨り減った  踵を地面に捉えて、おじぎをした。オイは悲しそうに鳴きだ  していたが、ガンスリンガーの左足の横にしっかり腰をおろしていた。  「さらば、愛しい人よ」 ・ギリアドのローランドはドアの前にすわりこんでいた。  もはやそのドアは、古くさくて取るにたりないものに  見えた。それは二度と開くことはないだろう。ローランド  は両手で顔を覆った。かれらを愛することがなけ  れば、このようにひとりぼっちの寂しさを味わうことは  けっしてなかっただろう。そんな考えが念頭をよぎった。  かれに後悔の念は数多くあれど、だれかに心を  ふたたび開くということは、そのなかに入ってなかった。  この期におよんでも。 ・「さぁ、おれの命のためだ、パトリック。いままでおれの身代  わりになって死んだすべての男と女のためだ」  そして子どものためだと、記憶のなかの目でジェイ  クを見ながら、ローランドは思った。はじめのうちは  暗黒の土の上にぶら下がっていたジェイクは、そのすぐあ  とで奈落の底へ落ちていった。  ローランドは口のきけない少年の恐怖に満ちた目  をじっと見つめた。  「終わらせろ! おまえができるということを証明し  てくれ」 ・ローランドはようやく消しゴムを取りだし、パトリッ  クに差し出した。  「やつを消してしまえ。あそこの汚らわしい悪鬼をこ  の世界から、そしてすべての世界から消してしまえ。やつを  永遠に葬れ」 ・「よし。おれは行く。長い昼と快適な夜を。すべて  の世界が終わったときに、道の終わりの開拓地  で会わんことを」  だが、ローランドには、そんなことは起こらないとわかっ  ていた。世界は決して終わらない、いまのところは。  そして自分にとって開拓地など存在しないこともわ  かっていた。エルドの血旅の末裔である、ギリアドのローラ  ンド・デスチェインにとって道は<暗黒の塔>で  終わっていた。かれにとっては、それで結構だった。 ・そして、かれらは確かに生きた。  <暗黒の塔>に至る道のりで、<熊>のシャーディックと  <亀>のマチューリンを結びつける、ときおりかいま見え、  流れていく<ビーム>の下で、かれらは確かに生きた。  それだけだ。  それでじゅうぶんだ。  サンキャーと言おう。 ・結末は無情だ。  結末とはただ、さよならの別の言葉にすぎない。 ・過去から学ばぬ者は、過ちを繰り返す運命に  ある。 ・これはおまえへの約束だ。事態は異なっているかもし  れない、ローランド――休息さえあるかもしれない。  救済さえも。  声がふととぎれ、そしてふたたびささやく。  おまえが立ち向かうなら。おまえがおのれに忠実  であるなら。 ・「<カ>は車輪であり、それの知っていることは、ただ進む  だけだ」  「<カ>は車輪なのだ、そして、いつも始めたところに戻って  くる」  「<カ>は、われわれみながくくりつけられている車輪  であり、車輪が回転するとき、われわれはそれ  とともにまわらずにはいられない」 ・<カ・テット>とは、「ひとりは全員のため、全員はひとり  のため」という三銃士のモットーを彷彿とさせる  「多からなるひとつ」を意味する。<カ>は宿命  であり、<テット>は同じひとつの関心事、もしく  は目的を共有するグループのことである。  この<カ・テット>は、個人の意思によって変えること  はできない。ただし、壊れることがある。メンバーの  死や裏切りによって。 ・デビドロエピアンドロステロン(DHEA)  老化防止薬として有望視されている  精神分裂病患者のDHEAレベルは非常に低く、  少ないDHEAと、それによって妨げられた脳の発達によ  って起こる病気かもしれないと考えられている。 ・ガラスの破片で目を傷つけた人が、失明するどころ  か、視力が上がったということがきっかけで研究が  開始された、視力を矯正する放射状角膜  切開術「RK」 ・ 「モーツアルトの音楽は脳の情報伝達回路と  不思議に波長が合うらしい。また、音楽で  神経細胞の働きが活発化されるのではない  か」 ・がん予防の醤油の風味成分―HEMF  HEMFなどの抗酸化剤は、発がん物質がプラ  スのイオンを作るのを防ぐか、あるいはプラスのイオン  の活動を止めて、遺伝子DNAが傷つくのを防い  でいるのではないかと考えられている。 ・治療法があるのに、患者がその治療を受けられ  なかった場合、医者は訴訟に持ち込まれます。  また、矛盾しているようですが、医者が許可されていな  い使用で薬を処方し、その治療が失敗したな  らば、やはり患者は医者を訴えることができるの  です。何か間違っているし、矛盾しているようですが、  現実はこうなのです。 ・エイズ治療薬 ― サリドマイド  妊娠三か月目までに、サリドマイドを服用した  女性から手や足の成長を妨げられた奇形の子供  が生まれるという悲劇がありました。  エイズや結核あるいはがんの進行によって、身  体は衰弱し、体重が減少してきますが、このよ  うな諸症状を引き起こすタンパク質「腫瘍壊死  因子 アルファ(TNF-α)」の作成を、サリドマイドに  は防ぐ働きがあることを発見しました。 ・エイズに感染しにくい人々を調べたところ、彼らは共  通して、CKR-五と呼ばれる遺伝子に、ある  変異を持っていることが判明 ・”作業員ではない”RNA ・遺伝子の「子」の語源には”小さなもの”といった意味  ある物質 DNAの一部分 ・われわれが遺伝子と呼ぶものは、DNAのなか  で遺伝情報をもつ一部の領域のことで、遺伝子  はDNA上のところどころにしか存在していない。 ・生きているとは、体のなかで化学反応が起こっている  状態だと言い換えることができるのです。そして、  この化学反応を起こし、推し進めているのがタンパク  質である酵素なのです。 ・糖(デオキシリボース)+リン酸+塩基=ヌクレオチド ・DNAのコード一字、G(グアニン)とA(アデニン)が違うだ  けで肝臓がアルコールを分解しにくくなる。  GAAのグルタミンではよいが  AAAのリシンでは今ひとつ。 ・鎌状赤血球貧血は、赤血球にふくまれるタン  パク質、ヘモグロビンをコードする塩基のひとつ  がAからTに置き換わっていて、グルタミンであるべ  きアミノ酸がバリンになっているため発症する。 ・ハンチントン病  40歳前後に発症し、いったん発症すると本人の  意思とは関係なく体が踊るように動き、脳の一  部分が萎縮して、知能や精神までおがむしば  まれながら死に至る非常におそろしい神経疾患。  優性の遺伝病 ・HIVやインフルエンザなどのウィルスは、感染すると細  胞内に入り込んでDNAの塩基配列のなかに  自分の配列を組み込んで、それによって生まれるタンパク  質の力を借りて代謝をし、宿主の細胞分裂といっしょ  に増殖をして生きていきます。自分のものとは違うタン  パク質が体内で合成されるため、宿主であるわ  たしたちは体に変調をきたし、ときには生死さえ  あやぶまれるような重篤な症状があらわれることになる  のです。  また、さまざまな外的な刺激によってDNAの一部が壊  れて変化してしまったとき、その変化によって制御が  狂って細胞が異常な増殖をくり返し、壊れた  DNAを複製しつづけることがあります。それががんと  いう病気です。 ・テーラーメイド医療  それぞれの人にもっとも適切な診察や治療を  行う ・ショウジョウバエの遺伝子は1万1千個ほど  人間はたった2倍 ・DNA A(アデニン) G(グアニン) C(シトシン) T(チミン)  RNA A       G       C       U(ウラシル) ・分子生物学からすれば、遺伝子組換え作物  が人体に危害をおよぼすタンパク質を合成する  かどうか塩基配列を調べればすぐわかること。  安全性は実験動物まで使って証明され、農薬  を使う量がすくないのだから、むしろ通常の作物  より安全だとすら断言できる。 ・RNAワールド  DNAはハードディスク  タンパク質は出力機  RNAはCPU ・がんは傷ついた遺伝子の増殖が止まらなくなって  異常なタンパク質が次々と生まれていく病気です  が、ターゲットとするがん遺伝子と相補的な塩  基配列をもつRNAを合成して細胞のなかに入れ  てやることで有害なタンパク質の発現を抑制する  ことも夢ではない。 ・勇気リンリン 元気100倍  その名は、名探偵コナン ・あるカップルの破局  男が仕事に疲れ果てて帰宅すると、同棲中の女が、  荷物をまとめて別れの準備をしている。  「おまえ、どうしたんだ?」男は尋ねた。  「出ていくのよ」女が答えた。  「いったいどうして? 俺たち、仲良くやってるじゃないか」  と男が言うと、女が言い返した。  「なぜかって? あなたが小児性愛好者だからよ!」  「小児性愛好者?」男はせせら笑った。  「9歳の子供にしては、ずいぶんと難しい言葉を知  ってるじゃないか」 ・音めがね  事故の異音の発見 ・AVで一番興奮するシーン  選んでいるとき ・これからいわくつき廃墟へ探検に行くんだが  なんか準備していくべきことってある?  とりあえず長袖長ズボン、軍手は装備してく予定  とりあえず何か出てきたときに  何かに失礼だからネクタイ絞めていけよ ・ところで同じモンスターなのに、  2体・1体のグループで登場されたら  魔物にもいろいろあるんだなあと  寂しい気持ちになる ・人間には三大欲というものがある  金銭欲、名誉欲、睡眠欲だ。  性欲、食欲、海水浴だろ ・ムラサキカガミという言葉を  20歳までに忘れないと死ぬ  18歳のキャバ嬢をびびらせようと思って  >>7の話をしてやった。  5年たった今もそのキャバ嬢は18歳だった。 ・何所が面白かったか  何所が悪かったか  を書き出し  では、どうすれば面白くなるのか  を書く ・トロピカルサンダーバード ・ロバのサジかげん ・外界と道路のアクセスが悪く、通り抜けにくい街。  車の進入を阻む「陸のラピュタ」状態。 ・エピグラフ(扉の言葉) ・晴れとは雨がない状態かもしれない。 ・二つしかないものは、片方を知れれば  もう片方を知れる ・生き物は皆、遺伝子で自分の経験を子供たち  に伝えていけるけれど……  感じたことや、考えを遺せるのは人間だけです。  だから、人間がしなくてはいけないことは、それが  一番大切なのかもしれないね ・つまり……見る側のレンズが曇っていると、人間という  のは間違った答を出すようにできているものなんです ・お前のDSを反対側に閉じる ・私を愛しているならば、この爛れて、濁った瞳の奥に……  真実の透き通った、美しい瞳を見出すことができるのでは  ないかってね ・LD50……lethal dose 50 %      半数致死 投与されれば           その半数は死に至る  ただの塩すらLD50 4g/kg  体重50キロとして200g摂取すれば五割で死ぬ ・さくら「日々勉強ですよ副会長1 何しろまだ私     たちったらぴちぴちな訳ですし!」  耶也子「……つっちーはシワのない脳みそがぴちぴち     なんだ……」 ・忘れてしまうことは……死んでしまうより、辛いことだっ  て……だから、思い出してください! 千歳さんがいたこ  とを! 忘れてしまわなければ耐えられないほどに、  あの人のことを愛していたことを……! ・嗅覚というのは五感の中でたった一つだけ、理性  を通さずに直接感情に働きかける力がある ・母さん/貴方にとってはそうなのでしょうけど、  僕/私には関係ありません ・千早「いたいです」  薫子「大丈夫じゃないじゃん! や、やっぱり我慢して――」  千早「こうして、手を繋いで薫子さんと、一緒にいたいですよ」 ・芸術家は本来、人間の進化と逆行していると言える  なぜなら、遺伝子は戦略的に長く生きることを  目的としているからだ  つまり、苦悩や争いを避け、傍観者として長く生き  ながらえる方が、その目的に適っているといえる  すなわち、平凡に生まれ、平凡に生きるということだ  だが愚かにも、芸術家はまるでその逆だ  しかし、だからこそ美しい  神々に逆らい、川の逆行し、自らの身体を傷つけ、磨か  れる小石はやがてダイヤモンドになる  平凡な人々は、そのダイヤモンドに絶望的な憧憬を  見せるのだ  それが芸術家だ ・ピアノの鍵盤は押せば必ずひとりでに元に戻る  でも、僕の心はいつからか元に戻らなくなってしまった  憧れや夢を忘れてしまった  哀しみや痛みは覚えているのに  でも君は違った  そういう憧れや夢を、心の中の小さな引き出しの中に、  そっとしまってたんだね  決して諦めてないからなんだね  いつか必ずそれが叶う時が来ることを信じていて…… ・このあいだ君に伝えた言葉は、一方で、僕自身に  言い聞かせた言葉だったんだ  ピアニストは、自分の情熱以外で鍵盤に向かうべき  ではない  観客のためでも、他の誰のためでもない  でもいつからかこの僕は、その情熱を失ってしまったんだ  寂しいし、苦しいし、哀しい  そして何よりも、ピアニストとして恥ずかしい ・ミニストップでファーストフード頼んだときに  「骨なしチキンのお客様ー!」  って呼び出されたんだけど、  なんかすごい罵詈雑言を  浴びせられたような気がする。 ・ウィルスバスターがはじいた広告を  許可してみたら  ウィルスバスターの広告だった。 ・DQN「お客様は神様でしょーが!!」  定員「でしたら神様、私の願いを叶えてください」  DQN「いってみろ」  定員「二度と来るな」 ・人生って素数だよな  割り切れない  まぁ自分自身で割り切らないとやっていけないな ・   |論理和 論理積     |  A B|AorB AandB   −−−−−−−−−−−  0 0| 0   0  0 1| 1   0  1 0| 1   0  1 1| 1   1  全部のフラグを立てると  進む場合、論理積 ・演出の自由  順番の自由  ゲームとしての自由 ・人生は勝手に動く ・精子も財産分与の対象とする ・科学技術の進歩は、まずは単純な願望から始まりま  す。科学技術の科学的でない点は、その波及効果に  ついての思考を全く欠いている点です。 ・卵巣や子宮に問題がある場合、また高血圧で妊娠  中に必要な薬が使えないとか、妊娠することが非  常に危険な多発性硬化症、あるいは妊娠すると発  症しやすい精神的疾患などの場合、代理母に依  頼することがあります。この制度は、日本ではまだ認めら  れていません。 ・女性の閉経を止め、卵巣をいつまでも活動させることので  きる二つの物質  一つは菌類の一種、ヒューモニジム−B1  もうひとつはリン酸スフィンゴシン ・冒険好きの性格を作っている  ドーパミンD4受容体 ・ドーパミンは学習や記憶や喜びや創造の源なので、  これを働かなくするということは、廃人を作ることに  なってしまいます。 ・エイズウィルスは、レトロウィルスと呼ばれるウィルスの仲間です。  レトロウィルスは肉腫や白血病などの腫痕を引き起  こすものが主ですが、これを研究していた彼らは、レトロ  ウィルスに感染した個体の遺伝子の変異によって  発病の時間に差があったり、発病しなかったりする  ことがあるのを知っていました。  さて、エイズウィルスのほとんどは、最初マクロファージと呼ば  れる大きな攻撃的な細胞に入りこみます。この細胞  は異物を見つけると、それを包み込んで食べてしまう  ような、大きな仁王様のような免疫細胞  エイズウィルスは、マクロファージの細胞膜状の「CDA」と  「CCR5」という隣り合った二つの突起物に自分  の一部を結合させて、細胞内に入り込みます。  やがてエイズウィルスは「CD4」と「CXCR4」という隣り  あった二つの突起物に自分の一部を結合し免疫  の機能のほとんどを破壊する。  エイズに感染しない人の「CCR5」遺伝子を調べた  ところ、正常の遺伝子に比べて三二個の塩基対が欠けていて、このため  通常に比べて突起が短いのでエイズが入れない。 ・天才的なIQの子供たちには、この「IGF2R」遺伝子  に特殊な変異が見られた。 ・ヒト遺伝子多様性研究(HGDP)  (1)様々な民族群の移動と進化を探り、ヒトの決定  的な系統樹を作り上げる  (2)病気に対して抵抗性のある、あるいは傷つきやすい  遺伝子を同定し、これらを使って医学的な予防や処  置に発展させる ・ほとんどのヒトが、なにかしらの遺伝的異常を抱えてお  り、病気という病気は、大なり小なり遺伝子に左右さ  れている。 ・アルツハイマー病については、アポリタンパクEの遺伝子が  関与しており、なりやすいのはイプシロンチ型。 ・L-トリプトファン事件 ・遺伝子銃  ウィスコン州のアグラシータス社  穀類の遺伝子組み換えを可能にする特別の技術  非常に小さな金の弾丸に組み入れたい遺伝子を塗  り100気圧で撃ち込むと、固い細胞壁を破って、  直径二ミクロン程度の穴が開き遺伝子を送る。  日本で使う場合は特許が必要 ・技術の進歩と等しい倫理の進歩もなくてはならないのに、  私たちは古代の偉人たちの考えによりすぎて、新たに考え  ることを怠っているように思います。  私たちは、科学の発達によって、さらにその考えを推し進  めるような時期にきているように思われます。といってカリスマ  の出現を待つのではなく、私たちがみなその思いを新たにす  る必要があります。排除するというよりは、その技術を最善の方向  へ生かすような、よりよいチャンスが与えられたのだと思わなくてはなりません。  モラルもまた、そこにあるものではなく、創造するものだということを、  人類は忘れているのではないでしょうか。 ・日本は諸外国から見れば、宗教にしばられない自由  の国ともいえます。ですから、クローンについても、最も現  代にふさわしく考えられる国でとも思えるのです。 ・フランスの生物学者ニコル・ルドヴァラン博士らによってニワ  トリとウズラの間でもおこなわれています。ウズラの胚から  やがて脳を作る部分を取り出し、ニワトリの胚に移  植します。こうして作り出された動物は、誕生するとウズラ  の頭を持ったニワトリになります。しかしこの動物は生  後十日ほどで死んでしまいます。死因は、ウズラの脳が  ニワトリの免疫系によって拒絶されることによって起こる  脳機能障害のためです。 ・可能性は存分に探り、それを実際おこなうかどうかは、  よく考えるというのが正しいでしょう。包丁は凶器にもな  ります。それは、どこの台所にもあります。しかし、どこの  台所でも凶悪事件が起きているわけではありません。  科学技術は、そのようなものと考えるべきでしょう。 ・Y染色体の特別な箇所に睾丸を作る遺伝子があ  ることを証明し、この箇所を「SRY(Y染色体の性別決定領域)」  と名づけました。 ・人間は呼吸をつづける必要があるわけだ。よほどの荒  療治でもないかぎり、簡単に呼吸はとまらない。 ・そう、これは嘘発見器ではない。ただし、ここにいる人々に  とっては嘘発見器になるのだろう。 ・「もう、こんな生き方はしたくないの。たとえ呪われようとも、  自分で生き方を選びたい、彼女たちの生き方ではなく。  私の母はよかれと思って私を彼女たちのところに連れ  帰ったけれど、それはまちがいだった」ジェンナは恥ずかし  そうにかつ怯えたようにローランドを見た……が、まな  ざしは彼の両目に注がれていた。「私、あなたと一緒  に生きる、ギリアドのローランド。私の生あるかぎり、あるいは、あ  なたが私をそばに置いてくれるかぎり」 ・人工血液としてフッ素化合物が注目されるようになった  きっかけは、液状のフッ素化合物の中に誤って落ちた  ネズミが生き続けていたこと。  人工血液を体内に入れると、血液の代わりに酸  素を運搬し、体の組織が死ぬのを防ぎます。人工  赤血球は半日で半減してしまいますが、補給を続け  るうちに血液がつくられ、血量が戻っていきます。  人工血液の利点は、感染症の心配がなく、使用期限も  長く、取り扱いが簡単なことです。保存期間が赤血球  では通常21日間が人人工のものでは一年以上、血小板も  通常3日が半年になります。さらに、輸血のときに  血液型を合わせる必要もありません。  ヒトの赤血球は薄幕で覆われており、この膜は血液型  を決める抗原を含んでいます。ところが、人工赤血球の  膜は抗原を含んでいないため、輸血のミスのトラブルの  心配もないわけです。 ・組織再生には、3つの材料が必要だということです。  最初に「基になる細胞」、次に細胞を分化・増殖  させる「細胞成長因子」。そして、3つ目が細胞と細  胞の間にあって、生体の成長や構造保持の足  場となる「細胞外マトリックス」です。 ・白血球や再生不良性などの患者さんに脊髄を  提供する場合、脊髄バンクではドナー(提供者)の  血液検査を行い、その白球型(HLA)を登録していきます。  血縁者間の場合、このHLAが適合する確率は兄弟  姉妹関係間で4分の1、親子間ではに20分の1以下  といわれます。6抗原が完全に一致するドナーを見つ  けるには、その数なんと10〜30万人のドナー登録者  が必要だといいます。 ・プロウィルスとは、ある生物の染色体の一部に潜んで  いるレトロウィルスのひとつです。その生物にとっては全く  無害な存在なのですが、他の生物種に感染した  途端に活性化され、病気を引き起こす能力を持って  いるウィルスです。 ・臓器移植は、血液判定にそって行われます。つまり、  O型の人はどの血液型の患者にも臓器を提供できる  のに、O型の臓器しか受けとることができないため、  手術の優先順位ではとても不利になってしまうので  す。 ・遺伝子治療には、変異のある遺伝子を修復する  「遺伝子そのものの治療」や、遺伝子を薬剤と  して人体に投与し、例えばそれによってガンに対す  る免疫機能を強化したりすえう「遺伝子による治  療」があります。さらに細胞が本来持っていない新  しい機能を、遺伝子の導入によって持たせることも  できます。 ・ADA欠損症とは、簡単にいうと、人が本来持ってい  るADAという酵素をつくる遺伝子に変異があるため、  うまく機能しない病気です。結果として、身体の免疫  システムが動かず、先天的エイズのような症状になり、  早い時期になくなってしまいます。 ・遺伝子を導入する2つの治療法  「ex vivo(体外)法」導入の確認がしやすいが、特別  な設備と面倒な処置が必要。  「in vivo(体内)法」治療用の遺伝子を含んだベクター  を直接体内に注入する。 ・重症複合型免疫不全症とは10万人に1人という  稀な病気で、生まれつきX染色体の免疫に関した  領域に変異があるため、リンパ球を自分でつくること  ができません。そういうわけで、すぐに細菌などに感  染して死亡してしまいます。それを防ぐためには、常に  外界から隔離されていなければならず、透明な  カプセルの中に閉じ込められた生活を強いられるのです。 ・レトロネクチンとは細胞やウィルスが結合する機能を  持つタンパク質で目的の遺伝子を促進する効果が  あり、遺伝子の導入率を飛躍的に高めることが  できます。 ・ES細胞(Embryonic Stem Cell)  受精卵が個体へと成長するごく初期段階に存  在する細胞のことです。 ・EG細胞(Embryonic Germ Cell)  将来卵や精子になる細胞(始原生殖細胞)  からつくられる細胞のことです。 ・日本でのES細胞の元になるヒトの受精卵を「生命の  萌芽として倫理的に尊重されるべき」とした上で  条件付きで研究を認めました。  1 研究機関の審査委員会と国のダブルチェック  2 使用される受精卵は不妊治療で余ったものに限る  3 提供者の個人情報を厳重に保護する  ――など ・ほおの内側の粘膜を数ミリ切開し、深さ0.2〜0.5ミリ  の部分から、粘膜の幹細胞を取り出します。これを  2〜3週間培養して薄い透明膜を作成し、コンタ  クトレンズの内側に張りつけます。このコンタクトレンズを  角膜を切除した眼球にかぶせると、培養膜の内側  の内側に角膜(上皮の部分)が再生していきます。 ・クローン規制法  クローン人間とヒトと動物の雑種(ハイブリッド)、ヒトと動物の  細胞が混じったキメラなどの特定胚をヒトや動物の  母胎に移行するのを禁止。違反は「懲役10年以下または  罰金1000万円以下」。  1 人クローン胚  核を除いたヒトの未受精卵に、ヒト体細胞の核を移植  して作る。  2 ヒト性融合胚  ヒトの細胞の核を、核を除いた動物の未授精卵に入れる  3 ヒト胚核移植胚  ヒトの胚の核を、核を除いた別の女性の未受精卵に移植。  4 動物性集合胚  ヒトの細胞が動物の胚と結合して一体となった胚で、動物  として成長するが、ヒトの臓器を生む可能性がある。日本で認めている。  5 ヒト性集合胚  ヒトの胚と動物の胚・細胞を混ぜてひとつの胚にして作る。「キメラ」  が生まれる。  6 ヒト動物交雑胚  ヒトの精子と動物の未授精卵(またはその逆)。  7 ヒト胚分割胚  体外受精による初期胚を複数に分割した胚。  8 動物性融合胚  核を除いたヒトの未授精卵に、動物の体細胞の核を移植。  9 ヒト集合胚  ヒトの胚と別のヒトの細胞を混ぜ、一体の胚にする。 ・「クローニング、何が悪い」イギリスのR・ドーキンス博士  「民主的で自由な世の中を望むなら、誰もが納得する  理由がない限り、他人の希望を妨げるべきではない。  ヒト・クローンについても、それを求める人が出た場合、  禁止を主張するにはクローンに対しどんな害があるのか、  明示する責任がある」 ・彼女の視線は僕をずたずたにした。伝えないというその行  為が、すべてを伝えていた。その瞬間、とても大切なもの  を壊してしまったのだと、僕はようやく気づいた。  とんでもないバカだ僕は……たった一度のチャンスを壊して  しまった……。  もう取り返しはつかない。この世界では一度起こしてしまった  ことは決して元に戻らないのだ。皿を落とせば割れて  しまう。ゲームのセーブを失敗すればデータは消えてしまう。人  を傷つければ相手に嫌われる。元には戻らない。決して。 ・一日が始まる。  あるいは終わる。  残り少ない命の日々が削られようと、そのことで誰かが傷  つこうと、誰かが傷ついたことで他のだれかが同じように傷つ  こうと、ひとりのガキが友人に迷惑をかけようと、日常はいつも  と同じように始まり終わり、それをどこまでも繰り返  す。だからこそ、日常は日常なのである。路上にとめられた車  にも、道路のアスファルトにも、僕の吐く白い息にも、日常  は等しく宿っていた。  そして死もまた、そういった日常の一部にすぎない。  逃れられない。 ・そのときだった。どこからか不思議な力が降ってきたのは。  不思議な力は僕の心の奥底、いや僕という人間の奥底を  刺激し、そこからさらに大きな力を引きだした。 ・僕たちは怪人と戦わなきゃいけないんだ。  現実という名の、とてつもない怪人と。 ・もちろん、応援だけじゃ意味がないわけで。まずは自分自  身で戦わねばならない。当たり前の話だ。たとえ勝機  が少なくても、徒労に終るかもしれなくても、とにかく  戦うしかないのだった。戦うことから逃げていては、勝つチャン  スさえも逃してしまう。それが勝負というものだった。 ・「一分だよ」  早口で言った。  「一分だけ時間をとめてやるから」 ・僕はまだ機械のように動き続けている夏目の手を見た。  こいつだけが里香を救える。その手だけが里香の心臓を  蘇らせることができる。僕は夏目が大嫌いだった。理屈  とかじゃなくて、とにかく顔を見るだけで腹が立ってくる。  けれど今、僕はその大嫌いなヤツの前に這い蹲りたかった。  そして懇願したかった。  里香を助けてください、お願いします里香の命を救ってくだ  さいお願いしますお願いしますお願いします……。 ・今、里香はまだ生きている。この世界はただそれだけで意味のあ  る場所だった。けれど手術が失敗し、里香がいなくなって  しまったら、その輝きはすべて失われてしまうだろう。世界が滅  ぶ。確かに滅び消え去る。 ・「なぁ、戎崎。おまえさ、運命とか未来とか、押しつけられるもん  だと思ってねぇか」  「運命も未来もおまえ次第なんだよ。おまえはこういうのコッ  恥ずかしいと思ってるんだろうがな、逃げることなんてできねえ  んだよ。おれたちはそういうコッ恥ずかしい場所でコッ恥ず  かしく生きるしかねえんだ。そして運命や未来がおまえの思  うとおりにいきそうにないんだったら、それを否定しろ。曲げ  てやれよ。できるかもしれねえし、できないかもしれねえ。  でも、唯々諾々と従うよりはマシじゃねえか。たった一パー  セントの可能性にでも賭けてみせろよ」  わかるだろ、と夏目は言った。  「里香のためだと思えば、なんだってできるだろ、本当に欲  しいものは自分の手で強引に掴み取れよ。おまえの両  手はそのためにあるんだぜ」 ・だったらさ、それってもう全部叶ってるじゃない。自分のことな  んかどうでもよくて、相手のことがなによりも、それこそ世界  全部よりも大切で、その相手が笑ってくれるんならどう  でもいいって思えたりするもんだろ。もうさ、すでにさ、  そのとおりのことができてるんだ。この先なにがあろうと、  里香がとっくに死のうと、裕一はその望みを叶えてるん  だ。あのクソガキは、あんたの知り合いの誰かさんは、自分  でも気づかないうちにね。いつのまにかすべてを手に入れて  るんだよ。すでにさ。 ・「たとえ守りきれなくてもさ、守ろうとするだけでも意味はあるよ。  で、裕一はもう覚悟を決めてる。大人になろうとしてる。  里香もそれをわかってる。で、里香は無理だと悟っても  いる。聡いからね、あの子。だけど、聡いから、他のこともわ  かってる。ちゃんとね、わかってるんだよ、あのふたりは。もしか  したらあんた以上にさ」 ・そうさ、どんなに世界が理不尽でも、むちゃくちゃでも、思い  どおりにいかなくても、僕たちは何かを引き寄せようとする  べきなんだ。そういう現実に抗って生きていくべきなんだ。  だってそうすることしかできないだろ?  諦めるなんて、絶対に無理だ。最後の最後まで、僕は  信じるさ。世界は僕たちのものだって。僕たちの両手は、  必ず大切なものを掴めるんだって。  そうさ、僕は信じてやるさ。 ・命をかけてきみのものになる。 ・いいか教えてやる。その手はな、なにかを掴むためにあるんだよ。  欲しかったら、手を伸ばせよ。そうして強引に掴み取れば  いいんだ。ただぼんやり突っ立ってるだけじゃなんにもでき  ないままになっちまうぞ」 ・ああ、自転車が邪魔だ。  もし自転車がなければ、手をつなぐのにな。里香が嫌  がってもつなぐのにな。 ・ここで、この町で、僕たちは生きていく。だって、僕は自ら  の手で、未来を、大切なものをちゃんと選んだのだ。たった  ひとりの女の子と、自らの夢を天秤にかけたら、かたんと  女の子のほうに傾いた。それはもう、あっさりと傾いた。  自分の夢だけじゃない。片方の天秤に乗っているのが  世界だろうが、宇宙だろうが、どんなものであろうが、  同じように天秤は傾いただろう。  それこそが、僕の選んだものだった。 ・三人の少年はほとんど無言のまま、猫缶スパゲティを食べ  つづけた。真先に食い終わったのは戎崎裕一だった。  空っぽになった皿にフォークを置く。カラン、と音がした。  彼の腹はすっかり膨れていた。それなのに、胸の中は  空っぽのようだった。  「あのとき、食べておけばよかったな」  他のふたりには聞こえないように、戎崎裕一は呟いた。  「半分、残してくれてたんだよな」  聞こえないように呟いたのでもちろん誰の耳にも届か  なかった。 ・「お兄さんも、弟も、幸せだったと思いませんか。確か  に殺したかもしれないし、殺されたかもしれないけ  ど、でもふたりはちゃんと信じあってたんですよね。  ふたりは間違ってたかもしれないけど、でもふたり  はちゃんと信じあってたんですよね。ふたりは間違  ったかもしれないけど、信じてたからこそ間違った  んですよね。だったら、幸せだと思いませんか。  誰も信じられず、誰にも信じてもらえないまま死  んでいくよりも、ずっとずっと幸せですよね」 ・トンネルを逆に抜けるとき、さっき見逃していた落書き  が目にとまった。赤いハート。その真ん中にKというアル  ファベット。どこかの誰かがKってやつを好きなんだろう。  しかし、そのハートは割れていた。他の誰かがハート  に亀裂をあとから書き入れたのだ。ちくしょう。焦りと  ともに、僕は心の中で毒づいていた。簡単に人の  心をぶち割りやがって! そんな権利がおまえにあ  るのかよ! お前だって誰かを好きになったりするだろ! ・ロスモの方程式 ・自動車にはすべて車輪がついているのは事実だ  けれど、だからといって車輪がついていれば自動車  とはいえない――自転車なんかもあるわけだ ・いや、僕だって基礎レッスンは大切だということは認  める。しかし、ピアノを学ぶために避けては通れないこ  の教則本が、むしろピアノを嫌いにさせることもある。 ・ミンジェは上手だった。コードは2個だけしかな  かったけど、その中に宇宙が広がっているようだった。  胸がドキドキした。その宇宙を僕に欲しいと  思った。 ・「彼女のためにピアノ教則本を作ること」 ・死亡フラグの「さしすせそ」  先に行け、奴は俺が食い止める  死にたくない奴らはここにいろ、俺は部屋に戻るからな!  すぐ戻る、ここで待ってろ  戦争が終わったら俺、結婚するんだ……  そうかっ! そういうことだったのか! ・男は度胸  女はキリスト教 ・「やだなあ……」  言葉が自然と漏れた。  さっきから同じ言葉をずっと繰り返してる。  後ろを振り返れば、アスファルトの表面に、あたしが落  としていった「やだなあ」が十メートルごとに張りついて  いるんだろう。 ・ピアノの音色は人の心の足りないところを埋めてくれる。 ・「いいじゃない、嘘だっていいじゃないっ、みんなが楽し  いならいいじゃないそれで」 ・追いかけることも、呼び戻すこともできなかった。突  然の変調についていけないまぬけなピアニストのように、  ぼくはぼうぜんと立ちつくした。 ・藤谷はいつも全力で嘘をついていた。あらんかぎり  のパワーをぼくへ注ぎこむように、なんの得にもなら  ない嘘を必死でふりまいていた。自分のための嘘は、  ひとつもなかったんだよな。 ・「藤谷」  「え」  「おれ、どうも気になってしょうがないんだけど……」  やかましい鼓動をごまかすように、僕は言った。  「結局、じいさんの遺産の行方はどうなったんだ?」  ぼくの胸のあたりに額を当てたまま、藤谷はしばら  く考えこみ、やがてぽつんとつぶやいた。  「ぶじ解決したの。二人のきょうだいに等分す  ることになって」  「なるほど。その手があったか」  「もっと早くに気がつくべきだったんだけど」  「おやじをうらんでいたOLはどうなった?」  「新しい彼ができて幸せになった」  「おふくろあ愛人と手をきったの?」  「うん、今はパパとうまくやってる」  「家出した妹は?」  「帰ってきた」  「グレて、眉を剃った兄ちゃんは?」  「更生して、また眉毛も生えてきた」  「そうか」  とぼくは言った。  「見事なハッピーエンドだなあ」 ・2|4拍子ではなく、4|4拍子でもなくて、メリーゴー  ラウンドみたいにぐるぐるとまわる3|4拍子のワル  ツが好きだ。  ワルツには翼が生えている。音符のひとつひとつが  翼を持っている。それはまるで妖精のように宙を舞い、  しゃらしゃらと踊りながらわたしにいくつものキスをする。 ・ふけていく夜の中、君絵が現れる直前までサティの  おじさんは雨ごいのようにピアノを弾きつづけた。 ・「奈緒ちゃんといると、なんだか気持ちがやすらぐ  わ。こう、あたりの空気がうっすらと透きとおっていくみた  いで。奈緒ちゃんには昔からそういう力があったわね」  「力?」  「そう。奈緒ちゃんはとてもやわらくて、自然なの。  どこにもよけいな力がはいっていない。それがあなた  の力ね」  「わからない」  わたしは本当にわからなかった。  だって、わたしには何もない。絹子先生やサティのお  じさんや君絵みたいな個性がない。そのことでひ  そかにコンプレックスを抱いていたのだ。  「今はまだわからないかもしれない。でもおぼえてい  てね」  おぼえていてね、と力をこめて絹子先生は言った。  「たとえばワルツを踊るとき、わたしは彼も君絵ちゃん  も体のどこかに極端に力が入っているの。楽  しく自由に踊っているつもりでも、どこかにかたよって  いるのよ。でも奈緒ちゃんはちがう。あなたのワルツ  はちがう。あなたのワルツはとても自然でのびや  かで、すてきだわ」 ・「あたしたちが大人になったらさ、好きなもんを好きな  だけ作って、そんで毎日を木曜日みたいに、きらき  らさせてやろうな、そんで、そんで……」  「それで?」  「そんで絶対に終わらせないんだ」 ・もしかしたら君絵は、わたしはふたりの歌とピアノによって、  何かを変えることができると思っていたのかもしれない。  赤を黄色に変えるような、木馬を白馬に変えるような、  涙を水晶に変えるような、そんな何かを期待してい  たのかもしれない。 ・「いいか、奈緒。リラックスしろよ」  「してるって」  「リラックスするためにはな、てのひらに『人』の字を三回  書いて……」  「してるってば、緊張しているのは君絵のほうでしょ」  「あたしは平気だ。もう五十人ぐらい『人』をのんだ」  「それ平気じゃないってことだよ」 ・最初の低音。  ここが勝負だ。  うまくいった。しっかりと始まった。  ほっとしたとたん、両手がなめらかにすべりだした。  <金の粉>。初めて聴いた瞬間から、ひとめぼれの  ように私を魅了したサティのワルツが、わたしの手  によって広間に溶けこんでいく。  ワルツには感情をこめすぎちゃいけない。顔をしかめ  たり首を激しく揺すったり、そんなヤボな真似はワ  ルツには似合わない。ただ十本の指を気ままに  躍らせてあげる。それだけでいい。あとはピアノが  音色を運んでくれる。メロディーが自由に羽ばた  いてく。 ・「なにをする我が息子よ。おれがこの世でいちばん不  愉快なのは交響曲の第三楽章を聴いている途  中で邪魔されることだ。前に教えただろう」  「人生の第三楽途中でとまっている中年男がなにをえ  らそうに」 ・「ベースというパートが目立たないことは私も否定しな  い。なにより、ベースを弾いただけでだれもがそ  れとわかる曲がほとんどない。唯一の例外が、  これだ。だからすべてのベーシストはこの歌から始めて、  この歌に還ってくるべきだと私は思う」  それは、ベン・E・キングの『スタンド・バイ・ミー』だった。  ダッ……ダッ……ダダダッ……ダッ……というベ  ースパターンには、たしかに、わずか二小節でこの歌を記  憶に蘇らせる力がある。 ・大量の粗大ゴミが古戦場の骨みたいにひっそりと  朽ち果てていて――その真ん中にピアノがあるだけ  だ。なにもかもが死んでいて、世界が終ってしまった  あの場所に、いのちを持ちこめるのは、たぶん  真冬だけなのだ。 ・「……少年。ベースってなんだと思う?」  ぼくはそっと顔を上げる。先輩は笑っていなかった。  目つきは優しかったけれど。  「バンドがもし一人の人間で。ヴォーカルが頭で、  ギターが手」先輩は自分の手元から、千晶の方へ  と視線を移す。「ドラムが足だとしたら。ベー  スはなんだと思う?」  先輩の謎かけに、ぼくは答えられなかった。だって。  これまで生きてきた中で、ぼくはずっと受け取るだ  けの人間だったのだから。  先輩はようやく薄く笑って、それからすっとぼくに  身体を寄せてきた。先輩の手のひらがぼくの胸に  押しあてられるので、ぼくはどきりとして固まる。  「ここだよ、少年」  じっと正面からぼくの目を見つめて、神楽坂先輩  は言った。  「心臓だ。わかる? きみがいなければ、私たち  は動かない」 ・「……ひとりでいるからだよ。音楽って、それじゃだめ  になる」  ぼくはそのとき、有名な推理小説の問答を思い出  す。だれもいない森の中で倒れた木は音をたてるか?  答えは否だ。だれの耳にも届かなかったら、それは  音じゃない。ただ空気が震えただけだ。 ・僕が死ぬまで音は鳴っているだろう。僕が死んで  もその音は鳴り続けるだろう。  だから、音楽の未来について恐れる必要はない。  『サイレンス』ジョン・ケイジ ・「ロックだのクラシックだのは、しょせん、レコード会社と販売店が  棚をわかりやすくするために貼りつけたラベルだ。そうだ  ろう。音楽を、作曲者ごとに分けて論じることすら  危険なのは、きみもよくわかっているはずだ。運命を書いたベー  トーヴェンと田園を書いたベートーヴェンは、たとえほ  ぼ同時期であっても、違う人間なんだ。同じ時期  に作った曲さえもそうなのに何千ものちがう人間が作  った無数の音楽を、企業の都合で仕切られた  枠組みでもって分類し、その棚を指して好悪  を語るのは傲慢だと思わないか」 ・『……今、私の胸にある感激をこおでうたにして  きみに聴かせられたら、と思うよ。ねえ、なにも  言わなくても私の想いがきみに通じたんだ。す  ごいことだと思わない?』 ・ドラムスを四小節聴いただけで、伝わってしまう奇  蹟。このバンドの即興演奏(インプロヴィゼイション)  を支えているのはその力だ。 ・「こんな歌だったんんだ。気づかなかったよ。自分で作った  のに」 ・「だって私は、きみの父君が書いた何百という評論  の中から、きみを見つけたんだよ? これが特別じゃ  ないというのなら、この世の出会いはみんなただの  交通事故だ。 ・「『きらい』は、らくなんだけど。離れればいいだけだか  ら・『好き』は、つらいよ。距離はゼロより小さくな  らないもんね。どうしていいのか、わからない」 ・「だって、音でわかる。直巳のベースが、わたしのスト  ラトから逃げてる」  僕は愕然とした。音楽は、なんて簡単に、  想いを伝えてしまうんだろう。それはいつもいつもぼ  くの味わいというわけじゃないのだ。膝に置いたベー  スのネックを、きつく握る。それともいつか、ぼくがこ  の楽器ひとつで雨も雪も降らせることができる  ことができるくらいに上達したら、どんな迷いも戸  惑いも押し隠して、ベースラインをクールに踊らせる  ようになるんだろうか。 ・「ジョン・レノンだけはちがった。史上最も成功に近づいた革命  家である彼は、まずそれ以前に音楽家だった。戦う前か  ら、世界中が彼を見つめていた。五百年、千年の後に、  ミハエル・バクーンやレフ・トロツキーの名ががすべて忘れ去ら  れても、ジョン・の名前だけは残るだろう。なぜならね、  本質的に、言葉だけでは人の心には届かないから  なんだ。言葉をほんとうに魂の底にまで至らせる方法  は、たった二つしかない。血を流すか、歌を流す  か、だ。」 ・「命を削って言葉を届けることしか考えなかったから、  革命家はみんな夜明け前に斃(たお)れた。そ  んな愚を、私は犯さない。命と引き替えに、分厚い名  言集の一ページにほんの二、三行を遺して、それ  でなんの意味がある? ほんとうに世界を動かした  いと思ったら、まず歌うしかない。歌が私を頂に  押し上げるだろう。そこではじめて、私は語ろう。  蝋細工を肌のぬくもりでこねあげるようにして、  この世界を変えよう」 ・簡単だった。ただの機械だ。壊れたら、直せば  いい。この世には、壊れたら二度と直せないものの方  がずっと多いのだ。 ・「あんまりよく聞こえねえだろうから、おれ、今からとんでもねえこと  言うぞ! 親父が息子に言っちゃいけないせりふの、たぶん  ナンバーワンだ! おれみたいになるなよ!」 ・人は嬉しいときに、いちばんきれいな涙を流す。 ・届くかどうかはわからない。なにせ雲の向こうだ。  でも、少なくとも歌だけは届くだろう。どんなに  遠くてもね。  私はあの馬鹿に証明してやりたいんだ。  貸し借りなんて、つまらないものがでつながなくても――  大切な人を忘れたりしないこと。 ・3lb of nothin'but METAL  (3ポンドのただの金属)  これは五百円硬貨200枚ぶんの重さで、夢の対価。  たったこれだけでも、天国に届けるには重すぎる。  だから、クロウタドリの翼にこれを託そう。 ・ラジオからアンディ・ウィリアムズの歌声が流れ始め  た。恋とは素晴らしきもの、か。ルームミラーを見や  ると、車内にはカップルが何組か乗車している。  若者よ、恋をしたまえ。次のデート地まで、俺  が安全かつ迅速に連れてってやるから。 ・あの教師もわれわれとは違う方法で大統領  の娘を守ろうとしている。テロリストの銃弾や  狂信者のナイフや誘拐などとは別の危  険から。もしかすると、彼女が相手にしている  敵はもっと危険で厄介なものかもしれない。  最も効果的な警護というのは、警護す  る側とされる側の信頼から生まれる。身の安  全とは、両者が力を合わせて作り出すコラボレー  ションの結果なのだ。  あの教師なら、その敵を倒せるのではない  か。彼女はそう思った。なぜなら、大統領の  娘は一瞬ではあったが、無表情の仮面を  外したのだから。 ・俺は、死なない……!  お前を助けるために、俺は、時間を飛び越えてやる  ……!  だから……!  待ってろ……!  跳べ――  俺の記憶よ――  過去へ、跳べ――  跳べよぉぉぉぉっ! ・思い出さなければよかった  思い出せてよかった  君に謝ることができてよかった。 ・相対性理論って、とてもロマンチックで――  とても、切ないものだね…… ・いいか、よく聞きたまえ。君が失ったのは、指なのだ。  銃口を向けられて指だけで済んだ。あの娘の両  親とは比べものにならない。彼らは命を奪われた。  繰り返すぞ、君が失ったのは、指だ。命ではない。  今はどんなに同じものに見えても、あるいはそれ  以上の意味を持っていたかのように見えても、  それはやはり、指だ。命ではない。 ・PET 陽電子放射層撮影法  MRI 磁気共鳴描画法 ・自分が自分であるという意識は、おそらく脳新  皮質に深く関わっている。 ・「彼女は、お前が信じてくれればいいと言ったんだろう? な  ら、お前が信じてやれ。俺は残念ながら、すべてを  額目通り受け容れる訳にはいかん。だがお前  が精一杯信じてやれば、それで彼女は満足  するのかもしれん。岩村に残された時間は、決  して十分ではないのかもしれんのだ。それにな、如月。  信じるというのは、人間の脳に与えられた偉大な  力の一つだぞ」 ・「神というものがいるのかどうかは知らん。だが時と  して俺自身、自分の肉体が命というものを維  持しているということが、どれほど奇跡的なことか  を思い知る時がある。意志とは無関係に体  内で生成される様々な酵素。その一つでも  狂ってしまえば人間というのは簡単に死ぬ  んだ。外傷などなくてもだ。我々はやはり、生  かされてるのだと感じるよ。  だがその一方で、生きているのは俺自身だという  意識も、俺は強固に持っている。俺はその  俺を裏切らないよう、俺自身に誇れるように生  きていくだけだ」 ・「――彼女の最後の祈り、そして、貴方と、あの娘の願い。だから。  左手が無意識に広げられ、親指と小指がそれぞれ  嬰ハ音の黒鍵の上に置かれた。そこには五本の  指がきちんと先まで揃っていた。  ――弾きなさい。  息を飲む。緊張と期待とで、僕はひどく興奮していた。  弾けるのか? 僕が弾くのか?  だが目の前に手があった。その先に、ほの暗い中でも  なお鮮やかな白と黒が、じっと僕を待っていた。自  問は無用なのだ、と感じた。」 ・――ほら、弾けるでしょう? 弾きなさい。彼女のた  めに、そして貴方たちのために。  ああ、本当だ。僕は、僕は――。  ――何も思う必要はないわ。ただ手の動き  を意識して。目の前の、今は、今だけは貴方の  そのものであるその指を。 ・人間、自分が何を直せばいいかってのは気が  つかないもの。 ・社会人として求められる能力  創造力=オリジナリティ  国際性=コミュニケーション  協調性=チームワーク  執念=情熱+粘り強さ ・ノーストローク=ストローク飢餓状態  =人は生きていけない。 ・なるほど(クレームに対し、同意とも悪いとも言わない) ・数学的アプローチ  スタートからゴールへ ・語るように歌い  歌うように語らい ・字を読むのは読み違い  字を書くのは書き違い  タイミングが間違い ・勝てる勝てないじゃなく  ここで俺はお前に  立ち向かわなくちゃいけないんだ! ・心理的密室 ・そこにあるのにそれを表す言葉がないため  認識されない ・普段の俺、象形文字 ・1日中、おっぱいを揉み続ける仕事に就きたい  酪農マジオススメ ・「俺は”神”じゃない。気がついたらそれに等しい  立場にいたけど全然違う」  「誰を助けて、誰を見殺しにするかなんて、俺  は……もう、決められない……っ」 ・ある程度確実に記憶中枢に作用し  再生を阻止する働きをもつ物質  パキトシン ホルモンの一種  記憶が蘇らないように閉じ込めてしまうが副作用有り  分裂病の治療法として電気ショックと併用  普通思い健忘症になる ・陳述的記憶:知識 事実 思い出  手続的記憶:身体で覚える ・敵対者ではなく原因や心理に立ち向かう  根源的な恐怖や死に立ち向かう  悲劇的なものをのりこえる主人公 ・遊びの条件  1つの能力や数値を取り出して  競うのではなく多様な要素が関係する  運や偶然が絡む  利得や規範を越える部分をふくむ ・視覚は人が、自分がいることを固定する  音やにおいは心を飛ばしてくれる ・もし、誰も私のことを知覚してくれないなら、  私は存在してないことになるんじゃないかな ・認めろ。醜い自分のことを。  そして、手に入れればいい。  最愛の人を、最悪の方法で。 ・どちらが大きいか?  A期待値(享楽的な生活)  B期待値(宗教的な生活)  Aの計算式  期待値(死後の世界はない)×(享楽的な生活から得ら  れる喜び)+期待値(死後の世界がある)×(永遠  の苦痛)  Bの計算式  期待値(死後の世界はない)×(宗教的な生活から得ら  れる喜び)+期待値(死後の世界がある)×(永遠  の幸福)  A享楽的な生活=マイナス無限大  B宗教的な生活=プラス無限大  ゆえに……  A<B  期待値(享楽的な生活)<期待値(宗教的な生活) ・重要なのは、たとえなにが起ころうが――もしくは、なに  が起こっていると自分が思おうが――お前にはまだ制  御する力が残っているってことだ。自分が自分であるって  ことを思い出せ。なんとか切り抜けろ。錨(いかり)  を下して自分をどこかに固定する方法を考えるんだ。  安全な場所を探してもいいし、いっしょにいて安全な  人間を見つけてもいい。そして、たとえ自分が創りだ  した世界がどんなものだろうと、その世界で賢い判  断を下せ。そうすれば、最後には現実に戻る方法  が見つかるはずだ。 ・未来を予知することは不可能だ。しかし、現在の状況  をしっかり把握していれば、未来をコントロールすることが  できる ・アインシュタインの相対性理論。ハイゼンベルクの不確定性  理論。シュレーディンガーの猫。デイヴィッド・ドイッチュの  多宇宙理論。そして当然のことながらラプラスの魔 ・ぼく  という女の子  わたし という男性  わし  という鳥 ・みろよ、やる気まんまんで一人だけ立ってる  違うよ、座る場所がないんだよ  お客様の中に真しょうのドMの方はいませんか ・ノンオブラート むきだしの ・昼は真っ黒の蝶 夜は光る蝶 ・駄文同盟.comはヘッドバッキングしすぎて体ごと  すっ飛んだような検索サイトです ・「人生は厳しいが、生き残らなければならないんだ、生き  残らなければ……」  「生き残るよ。勝つよ、お父さん……」  「そうだ。私ほどお前を愛してやれる者はいない。誰も  信用してはならん。私がいつもそばにいるからな。い  つまでもお前と一緒だ。分かるか」  「ええ、お父さん、いつまでも」  二人は抱き合って  「いつまでも」  と、うわ言のように繰り返した。 ・「そうね……。父も作家でね、いつも原稿を書いていたわ。  私が側に行くと『あっちへ行ってなさい、キャサリン。今、  執筆中だ』っていうの。ある時、腹を立てた私は、  インク瓶を机の上にぶちまけ、彼の作品を引きちぎって  やったの。それを見て、父は怒りで打ち振るえ、立ち尽  くしていたわ、当然よね」  デヴィッドは、その後に起こったであろう出来事を想  像して、不安な気分になった。  「父は『何してる』って叫んだわ」  デヴィッドは、わが身に置き換えてちょっと体を震  わせた。  「怖い沈黙の時が流れたの。それから私は父を見  据えて言ったわ。『出ていって。今、執筆中よ!』って」  デヴィッドは虚を突かれたような思いがした。  父にあらがう子がいようとは、それも女性がこの世  に存在するとは、これまで思ったことがなかったのだ。  「そしてら、父が私に駆け寄って、抱え上げ、息も  できないほどに抱きしめたの。それから、いつも  言っていたわ。『あれが、お前の初めての文学的努  力だった』って」 ・「音符も大切だが、それ以上に弾き手の解釈、  理解度が大切なんだ。分かるか」  「はい、どう解釈するかが一番大事なんですね」  「ただし、音符を逸脱してはならない。音符の  中に解釈する鍵がある」  「私の感覚、感情は、私が感じているものです  けど」  「感情のために全てを犠牲にしてはいけない。  バランスが肝心なのだよ」 ・「二つの異なるメロディが権力争いのために騎馬  戦を演じていると思いたまえ。君の大きな両手に  は、それぞれ5本ずつの指があるのだ」 ・手は、音符を弾くというくせをつくってしまう。  手の存在を忘れなさい。  心で弾くのです……。 ――パークス教授 ・『ピアノ、いや、僕の指がありさえすればいい』 ・「音楽がいつも友達だったんです。そうですよね。い  つも、いつも……。音楽はとても高貴なものなんだ。  全てを可能にしてくれるんだ。だから、素晴らしい  んだ。友を持つってことは……」 ・「人生は続くから、続くから人は生きていけるんだ  よね。そう、だから、何かがうまく行かないからって、  絶望することはないんだ。続くんだから、試し  続けるしかない。試して解きあかすしかないんじゃ  ない? そうでしょう、良くなるために、遅すぎるって  ことはないんだもの……」 ・「何にでも、季節があるのよ。人間の一生にも」  「僕の人生にはどんな季節があったんだろう」  「不思議な不思議な季節があったのよ」  「シーズンの度に、リーズンが必要なのかな」 ・(弾きすぎで)右腕が痛み出した  中二病か ・考えてみれば、恐ろしい魔法だ。名前の持ち主に  してみれば、この世の始まりの魔法にして、最も強力  な魔法である。 ・このように、物体の出す音と、その音から私たちの脳がイ  メージする素材感やかたちとの間には密接な関係  がある。そしてそのイメージは、脳の個体差とはほとん  ど関係がない、普遍的なものである。 ・クオリアとは五感を通じて脳に入力される知覚情  報が脳に描く印象の質のことである。 ・地球上の広範囲に時空を超えてことばの共通  点が存在するならば、その共通点は、脳のプリミティ  ブな認識単位を示してくれている可能性がある。 ・私たち日本人の脳では「バカ」「ばか」「馬鹿」は、  微妙に違う場所で認識されていることになる。  怒らせちゃった彼女のメールが「バカ」だったら真摯に  頭を下げよう。彼女は意外に冷静で、一人の人  間として友情で怒っている。原因をちゃんと究明  して、今後の方針もきちんと表明したほうがよさそうだ。  彼女のメールが「ばか」だったら、案じることはない、た  だ抱きしめてあげればいい。彼女は女心で怒ってい  るのだから、原因究明も方針演説もかえって  白けさせることになる。「馬鹿」だったら、潔くあき  らめた方がいいかもしれない。女は徹底的に見下  げたときしか、この表現は使わない。 ・優秀な演奏家たちは、技術者として絶対  音感を使って音を組み上げながら、芸術家と  して絶対音感を消しながら全体のエンターテイメント  性を確認している。絶対音感を持ちつつ、自在に  絶対音感を消すことができる者たちだけが、芸術家  と呼ばれるレベルの音楽家になることができるの  だ。こうやって、人類全体から見ればたった一握り  の絶対音感の持ち主たちが人類全体を音楽  で魅了している。  ちなみに絶対音感は、七歳くらいまでに完  成しなければ一生獲得できないそうである。  これは、言語脳の完成期とほぼ同じで興  味深い。 ・ちなみに、絶対音感のしっかりしているプロの演奏家は、  いつ調律したかわからないような埃をかぶったピ  アノでも、それなりに演奏してしまう。音楽のプ  ロデュースの現場にいると、稀に目撃するシーンだ。  音程のずれている鍵盤を叩き方で工夫し、半音  くらいなら演奏そのもので調整してしまうので  ある。なので、粗雑な楽器だから弾けない、とい  うのはプロではない。 ・授業中、僕はぼんやり外の景色を眺めるのが好き  だった。  帰ったら何して遊ぼうとか、どこか遠くに行きたいとか、  いろんなことを思いながら、窓の外ばかり見てた。  午後の授業なんかだと、ついつい寝ちゃうこともある。  隣の女子高で体育をやってたりすると、それはもう大変。  何も考えずに食い入るように見ちゃう。  はちきれそうな太もも、のびやかな肢体、見ているだ  けで鼓動が高鳴った。  あのコがいいとかこのコもいいとか、もう授業中だっていうこと  なんか完全に忘れてずっと見てた。楽しかった。  でも、そんなことをしていると、いつも必ず邪魔が入るんだ。  「先生、授業してください」 ・ 30 〜 100枚 ―― 短編  100 〜 200枚 ―― 中篇  300枚以上     ―― 長篇 ・短編に対して、長篇で外せないプロットの特徴が、  ここにあります。  ・最小でもメインとサブ、二つのプロットが必要になる。  ・そのハコガキを作るためには、物語を前からだけ   でなく、後ろから前へ向かって考える作業が必要 ・解離性健忘  あまりにショックなことが起きると、覚えているのが嫌  で忘れるという機能が働く ・自分で自分の文章を読み返してみて、なんだかくどい  な、しつこいな、まどろっこしいなと感じたら、主語を  見直してください。大方の場合、”こと・もの”が主語  になってしまっているはずです。 ・「差異と反復」 同じようなことが少しずつズレて、          何度も繰り返されていく――。 ・『では合言葉を言うのだ。……”幼なじみは”?』  <”実はオレのことが好き”>  『”妹は”』  <”実は血がつながっていない”>  『よし入れ』 ・『先攻は、代わってメイド選手です! ここで一気に  勝負を決めることができるのか!?』  『ちなみに世間のぼんやりとした認識である、  炊事・洗濯 etc を一手にこなすメイドは”雑役  (ざつえき)女中”といいマス。中流以下の家庭に雇われ、  一人か数人で働くタイプのメイドデス』  『えっ、普通の家がメイドを雇っていたんですか?』  『メイド文化が隆盛(りゅうせい)した19世紀の英国  において、メイドを雇っているというのは貧民層と見られな  いためのステータスシンボルだったのデス。一家には一台  デス。多少無理してでも雇ったのデス。  一方、ポピュラーなイメージとしてあるお屋敷で  働くメイドは、それぞれの仕事セクションに分かれた  専門職デシタ』 ・赤鬼丸はにやりと笑った。「おまえたちには、俺  たちのような人知を超える能力はない。英雄  の遺伝子から生まれたとは言え、能力的  には単なる一般人と同じだ」  「残念ながら、俺には英雄の血など一滴も  流れちゃいないよ。俺もおまえと同じで、糞  みたいな遺伝子から造られたんだ。だが、  英雄は血によってなるものではない。その行いが  人を英雄にするのだ」 ・「じゃあ、もうお仕舞いだわ」  「いや、まだ終わらない。少なくとも俺が諦める  までは」  「どうなったら諦めるの?」  「俺は絶対諦めない」  「それってどういう事?」  「絶対に終わらないって事だ! さあ、走るぞ!」 ・情報の種類が違いすぎるからだ。例えば、  赤い色を見た時の変動は測定できる。そ  の電場パターンを『赤』という単語と結び  付ける事はそれほど難しくはない。しかし、  赤いと感じる感覚そのものをデータ化する事は  容易ではない ・物語がどんなふうに終わるかなんて、誰が  気にする? そこまでの幸せが、それを読み応  えのあるものにするんじゃないか。 ・「ケンセイが若いころ、彼は聖なる剣を見つけたあと、日  本を統一したいと願った。そこでドラゴンのところに  行き、剣の秘密を教えてくれるように頼んだんだ。  ドラゴンは同意した。ケンセイはその知識を使って、敵  と戦い、勝利を収め、領民を救った。だが、ドラ  ゴンが城に来て、報酬を要求した。ケンセイ  が愛している領主の命を」  ヒロは抱いている腕に力をこめ、チャーリーを引き寄せた。  「するとケンセイは、剣を引きぬき、それで自分の心臓を刺して、  ドラゴンにそれを差しだした。”わたしの愛はこのなかに  ある。持っていくがいい”とね。そして息を引きとった。」 ・最後はハッピーエンドで終わらないことはもうわ  かっている。これはおとぎばなしではないのだから。  でも、ハッピーにしろ、悲しいエンディングにしろ、まだ  終わりではない。  終わる必要はない。  失敗したら、また時を戻ってやり直せばいい。ど  んなに長くかかっても、どれほど昔に戻る必要  があっても。  また過去に戻ろう。  そして努力を続ける。  彼女を助けるまでは、やめるもんか。  ヒロは気分を奮い立たせ、決意を新たに像  を見上げると、目をつぶり、集中した。体じゅうの筋  肉すべてが震える。思考をレーザー・ビームのよう  に絞り、テレポートしようとした。  ぼくは落伍者じゃない。  まだチャーリーを救うことができる。  ダイナーに戻ればいいだけだ。戻れ、戻れ、戻れ  ――  どうかお願いだから戻してください。 ・広明が具体的にどのような処置を受けたのか  は判らないが、梢は記憶系統、または時間  系統の部位に何らかの操作を施したらしい。  どうも広明は『過去』『現在』『未来』と云う不  変でなければならない時間の軸をずらされ  たようなのだ。 ・どうやって観念を殺せるんだ? これが象徴の  打破みたいなものならば容易だろうけど、で  も僕は本当の意味で殺さなくては気が済  まないし安心できない。 ・「覚えてるかな? 俺は昨日あなたにこう云った。  未来に希望を持てと」 ・「あなたのお姉さんは素晴らしい人物だね」青年  は呆れたような表情で僕を見ている。「記憶を  繋げても、その翌日にはその事を忘却してしまう  のか」そう云って自転車のハンドル部分に設いて  いるベルを鳴らした。「そうやって逃げ続ける  のか。ねえ、それで満足なの? そんな生き方  で本当に良いの?」 ・間違いなくバイエルだ。一音符の追加もな  く、けれんも衒(てら)いもなしに、すなおに弾き  とおされていた。だがそれは聴いたこともない  バイエルだった。耳が音に吸われ、離せない。  何という音。歌い手の声がそうであるように、ピ  アニストも音じたいが、そのまま才能だ。美音でな  くても、強い指でなくても、ただの一音で聴き手  を連れ去っていけるピアニストがいる。そんな弾  き手が手がけたときバイエルがどれほど美し  く見えるか、ぼくは信じられない思いで聴いた。  バイエルの単純さは――音楽の規則の単純さ  は、その背後に聳(そび)える音楽の峰の高  さと自由の広さを予言している。だから美し  いのだと、知らされる。 ・後半を弾き終えるとピアニストは軽く和音を叩いて  転調し、さらにもう一オクターブ高いところでも  ういちど八番を繰り返した。ペダルの巧みな処  理と驚くべき指の制御のせいだろう。 ・十曲。本当にバイエルばかり。五分にも満  たなかったろう。その間、どこかへ連れていかれ  たという記憶と感情だけが残り、それだの  に満足は深かった。 ・「”心配は要りません。ぼくは音楽だけはちゃ  んと聴けるんです。――メロディも、音色も、感  情もすべてわかる。音楽のうち音以外のすべてが”」 ・楽譜には作曲家の感情の振幅が記録さ  れている。それを演奏家が解放する。非常  に難しい作業だが、まれにうまくいくと、我々は  天才たちの感情に同期して翻弄されること  になる。 ・十歳の記憶でなにができる? 和音は指の  配置のことじゃない。音楽の文脈に合わせ  て一つの和音を何千通りにも弾き分けなく  てはならない。コンサートへ出れば、もっと大変だ。  ホールごとに音響が違う。同じピアノでも  空調ひとつでがらりと音が変わる。ペダル  は鍵盤と同じくらい音楽を決める。鍵  盤を、音を出さずに押さえる技法だってあ  る。ピアニストは、ピアノというごつくてデリケートな  器械のオペレータだ。思いどおりの音を作ろう  としたら、調律師というエンジニアをこきつかって  こいつを手なずけてやらなくちゃいけない。そのうえで、  演奏をしながら全身を耳にしてコントロールしなくち  ゃならない ・介助人に支えられて椅子についたグラフェナウアー兄弟は、  指を鍵盤に立て、その押下(おうか)の深さを測量しよう  としているみたいに静かに下ろした。何種類か  和音を鳴らし、最後は指を押しさげたまま  じっと止めていた。音の成分が混じり合い消えてい  くのを指で聴き取ろうとするように。 ・一分近くそうしたあと、ふたごは両手で音階を  弾いた。鍵盤の端から端まで何度もター  ンしながら、スタッカート気味に見事な速さで  指が走った。こんどは鍵盤の跳ね返りの  速度を測っているようだ。 ・種子は生命のカプセルだと人はいう。むろんそれは正し  いが、見方はひとつじゃあるまい? 種子は、その周囲  の物質に選択的に働きかけて、時間線上に  配列されたさまざまなパターン――植物がその一  生のうちにこなしていく姿かたち――を織りあげ  ていく。そんなふうにも見えるのではないかね。  花、葉、根。そうしたパターンを実現させ、演じさ  せるためのロジックのカートリッジ。それもまた種子  なのじゃ。種子に仕込まれたロジックを踏み台  にして、そのときにふさわしい形態(パターン)を択  びとりつづける。この運動性が生命じゃ ・塗りつぶされちゃったんだよ。なぜ追われているのか  の記憶までね ・人間はすべてをまずかたちとして認識する。かた  ちとはなんだろう――輪郭だ。輪郭とは  なんだろう――境界だ。境界とは――  事物が接し、せめぎ合う界面。そこには必ず  ちからが介在する。 ・たとえば指をふれるだけで愛する子供を死な  せてしまう病にかかったとしたら? 呼吸をするだ  けで故郷の街を破壊するような力を持って  しまったら? しかもその能力を扁桃腺のように切  除することはけっしてできないのだ。 ・生物の記憶というものは、細胞のつながり具合によって  保たれる。脊椎動物ならば主に神経細胞であり、  その他ホルモンだったりフェロモンだったりイオン濃度だっ  たりもするが、要は同じだ。つながりが増幅され、  強調され、蓄積してゆくことで、電気信号は  記憶となってゆく。 ・それから?  それから他に何がある?  俺の知らない法則が あと幾つあるんだ?  (あの娘を)  俺は 知らなくてはいけない。すべての法則を。  ひとつのこらず。  (あの娘を本当に護るために) ・――けどな、ものごとが変わるってのは、いつだって表裏  があるんだよ。おめえが変われば、他の誰かも変  わる。一人が動けば、べつの一人も動かされる。  現に、おめえはあの異人さんを動かした。良いことしか  起きねえなんて虫のいい話はねえんだ。生きてる  お人たちの世の中だろうが、この<シキイ>の中だ  ろうがな。  ――そういうもんですか。  ――そういうもんだ。 ・……考えるのは布団の中でもできる。まずは動け。  今の自分にできることをやれ。今しかできないことを。 ・(俺は知らなくてはいけない。自力で見つけ出さ  なくてはいけない)  勝敗。攻撃。防御。何もかも、自分で掘り  起こし、見つけ出し、つかみ取るまでは、何一つ  分からない。答えはあらゆるところに隠されていて、  そして同時にどこにも存在していない。  それでも探すことを止めるわけにはいかない。  あの娘を護るために。 ・(俺は、善いことをしたかったんだ)  見知らぬ誰かを助けること。  身近な誰かを守ること。  この子を守ること。 ・そうだ。知ることは難しい。特に、自分以外の  誰かを。  あるいは自分自身を。 ・あらゆる技術は、時間をどういじくりまわすか、  それにかかっている。 ・私は、言葉をそっと蒔いたのだ。  冬の荒れ地に種を蒔いたのだ。  かすかな、ほんのかすかな、希望とも呼べないような  希望を託して。―― ・人が何かで感情を動かされるとき、相手の心が本  物なのか、上辺だけの偽者かどうかなんて関係  ないと思うのですよ ・他人がいくら言葉や仕草で感情や内面を持って  いると主張しても、主観的な気持ちを理解す  るのは原理的に不可能だということです。科学的  に全てのニューロンの発火過程と思考へ変換  する為の暗号コードが分かったとしても、それで  もなお人の内面は分かりようがありません。究極  的には、たとえ脳を入れ替えようともね。 ・自分だけに感情があって他にないというのは如何  にも不合理ではありませんか。唯我論ですから  ね。ならばそこではグルリと反対に考えるのですよ。相  手の感情というものは、人間感情の鏡なんじゃない  かと。だから相手が人間だろうか、人工知能だ  ろうが、機械だろうが、自分が感情をぶつけれ  るものであれば、相手にも感情があるように見え  る、いや感情や意識があると言って差し支えな  いってね。感情も意識も、究極的には間主  観的な出来事で、実体ではないと ・アミトロニアミトロフィック・ラテラル・ヌクレローシス  筋萎縮性側索硬化症の略称  神経筋疾患の難病  多くの症例が発症から二、三年で全く身動き出来  なくなってしまう。 ・シュレーディンガーの波動方程式の収縮は現在の  主流のコペンハーゲン解釈、すなわち主観的収  縮であり、それを凌駕する理論があるとしても、  生物の特定の構造に帰する必要はないのかもし  れません。しかしそれでも、生物やその脳の存在  自体が、量子場に影響を与え、そこには我々  の接し得ない物理学で駆動される空間や情  報や意識があるのかもしれません ・「第四世代は矛盾を理解するんだろ。じゃ覚えて  くれ。何か大切なものが出来るということは、心の支えに  もなるし、脆(もろ)さを抱え込むことになる。そ  れが人間ってもんだ。だから命令だ。おまえが  傷付くことを僕に心配するなって言っても無理だから」  「でも、それはAI三原則に反することで――」  「ダーメ。命令。いいね」 ・「――僕の命令を守って、無茶するな、いいか、命令  だ――」 ・「人工知能に記憶を植えつけるといっても、正  確に言えば記憶そのものを操作するわけで  はありません。記憶のエピソードを言語的、視覚的  、時には臭覚まで再体験させながら、側頭葉  た海馬を含めた経ん辺縁系を人工的に賦活化しま  す。ニューロンの状態を特異的にコントロール出  来るナノマシンの特許を入手したということで可能に  なった技術です。無論、初めこれはアルツハイマ  ーや各種の認知疾患の患者に対応する医学技  術として期待されていたものですけれどね……」 ・「私たちの人間の体も、いえ、生物は全て日々新  陳代謝を繰り返し、およそ一ヶ月で別  の分子に入れ替わっているのですよ。肉体と  いう物質など仮初めの姿、我々生命の、そして  意識を持った人間の本質とは。情報そのも  のに他ならないのです。遺伝子? それすら情  報を物質レベルに留めておくためのツールに  過ぎません。だから情報を維持したまま  肉体だけを移す。それも進化した新たな  種としてのAIに。それの何がいけませんか?」 ・人間に計測できるかって意味なら、もちろん答  えはノーだ。しかし、ぼくら人間に要因が計測  できないからといって、”コインの表と裏のどちらが出る  かは偶然の結果だ”ということにはならない。たん  に、”人間には宇宙の実相をすべて計測する能力  がない”ということでしかない。となれば、あらゆる事象  や出来事は、すべて物理法則によって決定され  ているにもかかわらず、人間の目にはでたらめに  しか見えない、ということも考えられる ・人間の心や筋肉の動きをすべて計測できる  コンピュータを考えてごらん。もしそのコンピュータに、  きみたち二人が出会うまでの数時間の環境  条件をすべて入力すれば、きみたち二人がいつ  どこでどんなふうに出会うかを正確に予言でき  る。 ・「統計学と確率論のちがいがなんだかわかるか  い?」  スティーヴをはじめ、数学を専攻していない学生たちは  全員が首を振った。  「オーケー。確率論は、ダイスを転がしたりとか、コイン  を投げたりとかいった、いわゆる”偶然に起こる出来  事”に関する学問だ。それに対して統計学は、  出生率や死亡率など、”実際の出来事”を計測す  る学問だ。いいかえれば、確率論は統計学  を予言する方程式をつくるために使われるんだ」 ・科学者は確率論の登場によって、たとえ100  パーセントの確信がないときでも、答えが”正し  い”と仮定する軸を手に入れた。なぜなら、間違っ  ている公算がきわめて小さいときには、おそらくそれが真  実であるというのが確率論の基本的な考え方だからだ ・しかし、心の底ではわかっていた。自分はその一線  さえ踏み越えるだろう。そうすることで、たった  ひとりの娘を救えるならば。 ・「いつかは人を信じなければならないときがくる  ものよ」 ・「ほかに選択の余地はなかったわ」  ケインはナヴァを見つめ返した「どんなときだって、  選択の余地はかならずあるものさ」 ・「そうだ。でも、調教師がロープを使うのは、ぜった  いに逃げられないことを像が学んでからなんだよ。  象が逃げられないのはロープのせいじゃない。象の思  いこみのせいなんだ。頭に刷り込まれた思いこみがい  かに大きな力を持っているかといういい証拠だな。  自分にはできると思えば、人はふつうならできるはずの  ないことだってできることがある。でも反対に、自分  には無理だと思い込んでいることは、ぜったいにでき  ない。なぜなら、試してみようともしないからだ」 ・これまで、ジャスパーはディヴィッドをやつらの毒牙から守  ってきた。しかし、ジャスパーにはわかっていた。もう  しばらくしたらディヴィッドが自分をやつらから守る  ことになるだろう。しかし、それはそれでいい。それ  が兄弟というものだ――だがいに守り合うことが。 ・量子力学は非常に注目すべきものだと思います。  しかし、わたしたちの内なる声は、これは本物ではな  いと告げています。  この理論は多くのものをもたらしましたが、  わたしたちを創造主の秘密に近づけてくれたわ  けではありません。  いずれにしても、神はサイコロを振らないとわたし  は信じています。  ――アルバート・アインシュタイン(二十世紀の物理学者) ・神はサイコロを振るだけではない。目隠しして振る。  それも、ときにあなたの見えないところへ。  ――スティーヴン・ホーキング(二十一世紀の物理学者) ・粒子が光速に近づくと、静止状態にくらべて時間  の流れは遅くなる。ゆえに無意識は永遠だと考え  ることができる。したがって、無意識は文字どおり時間  を超越しているんだ。 ・「大数の法則だよ」ドクがケインにいった。「この地球  上の人間すべてに、まったく同時になにかおかしな  ことが起こったら、それはたしかに驚きだ。わたしは  たったひとつの視点しかないから、自分の身にどれほど  起こりえないことが起きたとしても、この地球の全  員に起こったわけではないと仮定するしかない。  たとえば、六十億の人間のうちのひとりにしか起こりえな  い事象があるとしよう。当然自分の身にそれが起こる  可能性は恐ろしく低い。しかし、地球の人口は約六  十億だから、地球全体を視野に入れれば、誰  かの身にそれが起こる確率はほぼ100パーセント  だ。それだけ高確率のことが実際に起こったからと  いって、なにを驚く必要があるさ」 ・トヴァスキーは説明した。「きみも知ってのとおり、すべての  物質を構成している一二のクオークと一二のレプトンのう  ち、この宇宙に存在しているものはほんのわずかにすぎ  ない。そのほかはまったく存在してないか、一〇億  分の一秒後には消えてしまう。しかし現代物理  学者の多くは、それらがべつの宇宙に存在していると  信じている。いわゆる並行宇宙、もしくは非局所  的現実にだ。これらはわれわれの宇宙と同時に  存在しており、物理的性質がまったくちがう。こう  した並行宇宙はわれわれの宇宙のようにクオークとレ  プトンから構成されているのではなく、ほかのレプト  ンのペアでできているんだ」  「ほう、じつに興味深いな」フォーサイスはそう相槌  を打ったものの、実際のところは、いまのトヴァスキーの  説明などはほとんどわかっていなかった。量子力学  というやつは抽象的すぎて、いつ聞いても、意識が泳  いでしまう。この宇宙には存在しない基本粒子を物  理学者が発見したことは知っている。しかし、フォー  サイスにはそれが重要なこととはまるで思えなかった。  結局のところ、この現実において観察できない仮  相上の構造体を研究することに、いったいなんの価  値があるというのか? ・中国の気功家のなかには、精神の力だけを使っ  て、ある種の化学物質の核磁共鳴スペクト  ルに作用をあたえられる者がいるらしい ・<彼女> 自分のしたいことをすればいいわ。あなたに  は自分の未来を選ぶ力がある。そうすることによっ  て、周囲の人たちの未来を変えてくの。  ケイン でも、どの決断が正しいかなんて、どうすれ  ばわかるんだい? すべてが相互に結びついてい  るわけだろう? ぼくにとって正しい決断が、誰か  を傷つけるかもしれない。  <彼女> 決断には正しいも間違っているもないの。  決断はただの決断でしかない。あなたは自分が  ベストと思うものを選べばいいわ。  ケイン だけど、どうやって?  <彼女> それはあなた次第よ。